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ポーカー・フェイスのdojiのネタバレレビュー・内容・結末

ポーカー・フェイス(2023年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

『グラフオニオン』あたりからライアン・ジョンソンは捻くれものを捻くれた表現でやることをやめて、「じぶん、体制に与するやつ嫌いだから」というメッセージをわかりやすく描くようになった気がする。『ポーカー・フェース』はそのわかりやすさがチャーミングだし、リラックスして見続けられる探偵ものとしての安定感がなによりの魅力だと思う。

もしナターシャ・リオンが古畑任三郎だったら?というのがこのシリーズのわかりやすい説明のような気がして、コロンボよろしく犯人の描写からスタートするフォーマットは、毎回ナターシャ・リオンがどんな格好で登場するのかわくわくさせる定番の展開として機能している。彼女だからこそ、アメリカのどこでなんのアルバイトをしていてもクールに見えてしまうもの。

ナターシャは基本的にみんな同じような役柄ではあるのだけれど、毎回感じる彼女の魅力は、演技なのかわからないほどぽろぽろ涙を流すところだと思う。優しさからくる口もとの笑みを絶やさないまま、彼女は相手の話を聞きながらしょっちゅう泣いている。そこには共感しすぎてしまう彼女の繊細さを感じてしまうし、クールなハスキーボイスとタフなイメージと同居することで、ほかにはない魅力が確立されている。

いろいろ書いたとしても、とどのつまりはとにかく動いてしゃべっているナターシャ・リオンが見られるだけで尊い。続きがあるようで、ライアンもいつまでもやりたいシリーズだと語るほどのお気に入りとのこと。ぜひナターシャの髪がまっしろになるまで続けてください。

ちなみにエピソード9のシスヘテロイケメン男性の恋愛描写って、なんだかあんまり必要ないように感じてしまったのだけれど、どうなんでしょう。もっとちがう対象とのロマンスとかあってもいいのにとか、そんなことを思っているじぶんはけっこうだめなファンなのもしれない。
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