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リハーサル -ネイサンのやりすぎ予行演習-のdojiのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

なるほど本作を観ると、「THE CURSE」の原型となる発想がすでにここで表れているのを感じる。相談者のためのリハーサルという体裁をとりながら、相談に乗るためのリハーサルをネイサン自身が重ねている。そしてそれが無限のメタ認知として入れ子構造をなしていく様は、まるで『脳内ニューヨーク』のようだなと思った。

チャーリー・カウフマンは自らの人生を舞台化する主人公を描くことで、最終的に自己中心的な思考からの脱却(としての老いと死)をテーマにしていたように思うけれど、ネイサン・フィールダーがここでやっているのは、いつまでも不安に囚われ続ける自己をまさに体現するのことで視覚化し、悲劇が喜劇に転換される瞬間をつくりだすことなのではないかと思う。あまりのばかばかしさに笑いながら、その不安にときどき同調してしたい、涙が出そうになる時もあった。虚空を見つめて考え込むネイサンをこころのうちにもっているひとは、決して少なくないのではないか。だからこそ、彼が多くの人に愛されているのではないか。そんなのことを強く思うシリーズだった。
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