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宇宙戦争 シーズン3のようのレビュー・感想・評価

宇宙戦争 シーズン3(2022年製作のドラマ)
3.0
シーズン3。完結編。

ここまでくると、『宇宙戦争』というタイトルであるものの、もはや別のSFドラマではある。
少人数どうしの銃撃戦以上のバトルはないし、四本脚のアレは可愛さまで見せてきてる。


群像劇としてメイン人物の人数が少し減ったぶん、ドラマとしては見やすくはなってる。
早い段階で、メイン人物がある程度まとまってくるし。

人類を救うためにとある人間を殺した人物。彼のドラマ性はとても興味深い話。
救ったことにはなるけど、(片方の世界では)無実の人間を殺した殺人犯ではある。このジレンマ。
しかも、この人物は既にすべてを失っている男でもある。
このタイプはもっと英雄的に見せることもできうると思うけど、とてもドライに見せてくる。
彼のシーンの哀愁とヤサグレ感はドラマとしていい。

あのトム(エミリーの弟)に恋人が。
ここもドラマとして好印象。
いわゆるロミジュリ。

シーズン2からその要素があったけど、単なる人間対エイリアンの構図だけに落とし込まないようなエピソードは好ましく思える。


どうしてもモヤモヤしてしまうのはエイリアン側。
シーズン3の彼らはもはや未来のないマイノリティにしか思えないので、けっこう可哀想に見えてくる。
そんな彼らが人間に対して何か攻撃しないと『宇宙戦争』にはならないので攻撃するのだけど、もはや広い意味での特攻作戦みたいなもんだよなあ。

エイリアンの中でもやたら好戦的なキャラクターがいることで対立性が深まるというのもドラマとしてありだと思ってる。
今起きてる戦争って、「人種・民族または宗教の対立」にしてるようで、実際は過去の遺恨を引きずってるだけで戦争してる印象なんだもん。
ただ、その人物も割とアッサリ処理しちゃって、もったいない。


いちばんモヤモヤしたのは、終盤における人間側。
エピソード7かな。ある処理をした人物を敵に送るってことをやってる。
これ、シーズン2でも似たようなことをやってて、「またやるの?」となった。
いくら切羽詰まった状況とはいえ、その処理をされた人物が可哀想だし、前述したように敵側全員が憎たらしいわけでもなくなってきてるのにそれをやるって、どうなんだろ。
別の人物がその処理を少しためらうって描写はあるので、人類を救うためにその行為を全肯定してるってバランスではないのだけど、最終回でその処理をされた人物に触れてもなく、なんか「再会できてよかったね」だけなのよ。
だから、なんかモヤモヤ。


シーズン3として、ブラックホールが出てきて、頭のいい専門家たちが無茶をしながらどうにかしていくって本筋は楽しめた。


3部作全体を振り返ると、すべてを失った人物に人類を救わせてたり(この人物だけで救ったわけじゃないけどね)、障害者やサイコパスを元凶的なポジションにしたことにはスッキリしない感が。
特に後者のほうはとても引っかかる。
それもこれもエイリアン側の落とし前をもっと違う形で描いてくれていたらそこが解消されたかもなあ。
エイリアン側の一人が最後にああなるのはよかっただけにね。
よう

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