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ダハード~叫び~のBoschのレビュー・感想・評価

ダハード~叫び~(2023年製作のドラマ)
4.0
インドのサスペンステレビ。しかし、制作はしっかりしており欧米の作品「ブリッジ」「ダマー」などと比べても何ら遜色がない完成度。その背景にインドの風土が濃厚に描き込まれる。まるで昭和のような生活、圧倒的な生活格差、今でも現存するカースト制度に由来する格差社会、女性蔑視の風潮。主人公が女性警官ゆえにそこらを浮き彫りにしている。
しかも、官僚主義に支配された(そして無能な)警察の捜査能力は低いし汚職が横行しているリアルな現実が描かれる。地方議員の蛮行など昭和前の日本のよう。
能天気なボリウッド大作からは伺い知れない大国インドの抱える闇が、時間を使って演出できるテレビシリーズだからこそ浮き彫りにされていて興味深い。
しかし、これがIT先進国?書類はほとんどが紙だし、機器も古い。しかも、これだけカーストに踏み込んだ作品も初だな。『正義すらもカーストが握ってる』。インドの世相も知れてとても魅力的な作品だった。
ヒロインが低カーストから、男尊女卑の世界で、しかもその最たる警察機構で闘う過程でこのキャラになったのは頷けるし、よく演じられている。どこまでもタフなヒロインが魅力的。対する犯人もサイコパス像も見事で事件の流れもうまく利用していて犯人像を見事に演じきっている。上司や同僚の人間像も見事に出来ていて魅力的だ。インド俳優の実力を堪能できた。能天気なボリウッド大作とは全く次元が違う。
次々とSIMを入れ替えるあたり、妙にハイテク。
どこかレトロながらエキゾチックな街並みも魅力に溢れている。
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