このレビューはネタバレを含みます
シレッと真意が見えないトヨエツの、あの個性が活きている。
それに煽られるかのような、いや、そもそももう互角で渡り合える重さがマシマシの綾野が異様に動いている。
第三話までだが、都市の隙間の闇は、まだまだ炙り出せていない。
それでも、滑るような軽い曲に乗せられ、スルスルと観てしまう。
ライトなノリの良さは、今ウケる軽さなのだろう。
ただ、いまの若い人が観たら、リアルで気持ち悪い、と、感じるのだろうか?
いくつもの“動き”が同時並行で滑るように展開するのは、都合良すぎる趣はあるが、楽しい。
こんな企画、きっといま流行りの藤井何某がまた撮ったんだろう、とタカを括っていたら、大根仁だったのは驚く。この後、かつてのノワールな大根が観られるのだろうか?
暗躍するリリーとエライザが、面白くなりそうだ。
第二話のDVカップルのシーンなんかは、なかなかの外連味で、大根らしい。
その次の回想シーンで、綾野とトヨエツの出逢いの瞬間が現れるが、これこそ、気持ち悪い現在、こんなことが山ほど隣で起こっている、いまこの時間も、と感じる。
笑いとゾッと、こんな連続で振り回して欲しいモノだ。
そして、第3話あたりで、
現代なのに、コンプライアンスを意識しながら、無視する、そんな登場人物たち、いや、人間の“性”が立ち昇る。
荒っぽいやり方も、いまの社会(でも)、
正義、なのか?
不適切にも程がある、、、まで、もっともっと。
第4話
なかなか煽られました。恐怖とスリルを感じた。
なかなかの折り返し地点。
第5話
クライマックスへのプレリュード。
直前に余裕をかますトヨエツとウィスキー、クソな人間たちを見下すクソっぷりがイイ。
エライザのバディ、タレコミ屋が出色。異様な眼力。
第6話
よく出来たドラマシリーズは、最終回の一回前が興奮する。そんなジンクス通りに、一気呵成なスピード感。
しかも、その速度を増す為に、この回は37分!?他が50分前後なのに比べて、物理的にもアッという間の策略、まんまと巻き込まれた。
最終回
バタバタと小気味よく畳む。最後の最後まで“見世物”の手を緩めない。
その見世物趣向が、全話通して、見事だった。
R-16 暴力・性描写・薬物
そんな表示に相応しい、如何わしい世界の臭いを感じた。
そして、映像の“スローモーション”効果へのこだわりが愉しい。
まさに“ナカトミ・ビルディング”から、落下するアラン・リックマンのスローモーションを拝借した各所のそれが、監督のセンス、本気な悪戯心を感じ、余裕すら発していた。このくらい、血湧き肉踊らせないと、真のスリルは伝わらない。