諭志

スペシャルドラマ『グランメゾン東京』の諭志のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

飲食業をはじめ、多くの業界がコロナ禍によって苦しめられました。お世話になっていた店が苦しむ姿を見たり、潰れることを目の当たりにすることは、客である私たちにとっても辛いことでした。映画化に伴い、その様子をスペシャルドラマで描かれたことは、大変意義深いことだと思います。

新キャラクターの湯浅(窪田正孝)と明石(北村一輝)も良かったですし、相変わらずの尾花節も最高でした。あとやっぱり連続ドラマの時からそうですが、リンダ(冨永愛)が素晴らしいですね。品性と知性が溢れるあの役を演じることができる人は、そう多くないと思います。

グランメゾン東京の衰退や苦境を表現するシーン、また突然いなくなり連絡も取れなくなった尾花へ苦言を呈するシーンなどがいくつかありました。もちろん、大切なシーンだとは分かっていますが、ありきたりに怒ったり、励まし合ったりする展開になり、連続ドラマのときに見られた輝きを持つチームが、コロナ禍や大手商社との業務提携、尾花がいなくなったことによって、あそこまで嫌な雰囲気になるのはショックでした。色々な問題を抱えた状態が続くと人は疲弊するものですが、それでもあのチームだけは、あんなありきたりな嫌な雰囲気ではなく、輝いたままで、あの頃のように努力しているけれど、それでも厳しいという雰囲気であってほしかったなと思いました。

しかし、gakuの丹後シェフに資金援助を願うシーンを見て、「ああ、この人たちも必死なだけなんだ」と思いました。必死な料理人たちが客を奪われ、やりたい料理を奪われたら、あんな空気にもなるのだと思います。自分たちの不甲斐なさを他人に当たり、嫌な雰囲気を出していることに触れず物語が進んでいったら残念でしたが、必死さ故の態度だったので、そういう点では良かったです。

そして、なによりラストの4人。リンダ、尾花、湯浅、栞奈が良かったです。嬉しそうで悔しそうで、その感じがすごく伝わってきて、最高のシーンでした。

結局、尾花の描いたシナリオだったことは鳥肌ものですね。料理人としても一流で、策士でもあり、最後は料理で納得させる。相変わらずかっこいいです。
諭志

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