りりぃ

セックス・アンド・ザ・シティ シーズン6のりりぃのレビュー・感想・評価

4.1
S1~6を一気見して、セックスだなんだとセキララに言っているが、結局のところ中年女の「少女マンガ」だった。
まだ、Metooやガールズエンパワーメントが起こる前。でも、女性の性欲や社会進出が描かれてこなかった中でこの作品はすごく意味のあるものだったんだろうな。
描かれ方やその価値観はここからどんどんアップデートされていったなと思った。

そうは言っても、4人それぞれの成長やライフステージの変化は嘘がなく感じて感動する。
「一人で大丈夫」女のミランダが家族を持ってお互いに助け合うことに価値観を見出していったのは涙が出た。ミランダの場合、「生活」が第一で恋愛やセックスはその中のスパイス、みたいな価値観だから、スティーブくらい生活に溶け込んだ「腐れ縁」みたいな人じゃないと結婚なんてありえなかったんだろうな。
激務の弁護士であり、幼い息子の母親であり、オマケに義母の介護までする状況は、いくらマグダやスティーブがいると言ってもやや現実味がないような気がしたが…。
元「一人で大丈夫」女のミランダだからこそこなせるのかも。

夢見がち乙女なシャーロットが、きちんと自分の夢を妥協点を見つけながらも叶えていったのはすごく感動した。
流産後に自らを奮い立たせてブレイディの誕生日会に行ったのは感動した。
シャーロットは自分の夢が明確ゆえに張り切りまくって失敗するけど、それを見る度にクスクス笑って、愛おしくなってしまう。
きっと養子を貰った後も盛大に空回りしながらお母さんになっていくんだろうなぁ。

The破天荒なサマンサは、病気と加齢からS5~6ではやや落ち着いた印象。でも彼女のパワフルさや自己肯定的な姿は健在で、いつ見ても元気になる。どんなに辛い時もイラだったときもニッコリ笑ってセクシーにキメる彼女を見習っていきたい。
4人の中では一番仕事ができて、強くて、一人で生きていける印象の彼女。
だからか、ラストのスミスとの関係は本当に心温まるものになっていてすごく感動した。薬の副作用で髪を短くした時にスミスも坊主にするシーン、めちゃ泣いた。

最後にキャリー。ラストで自分で言ってた「恋愛至上主義」自覚してたんだ、と思った。キャリーはまさしくそれで、絵に書いたような「恋に恋してる」タイプ。
私はどちらかと言えばミランダタイプで恋愛は生活のスパイス程度にしか思ってないので、最後まで全くもって共感出来なかった。
この話が少女マンガだと思うのはキャリーの男性遍歴からで、Mr.ビッグやエイダン、アレクサンドルみたいなハイスペック男子がキャリーに惹かれる理由がよくわからん。確かに「尽くしすぎる」タイプで極度に面倒見がいい。それは女友達にもだけど、彼氏になるとそれがマックス。
ミランダじゃなくても「大丈夫か?」と声をかけたくなる。

これは脚本上の問題なのか分からないが、Mr.ビッグやエイダンまではある程度「この人に惹かれるのは分かる」と思える男性だったが、バーガーは今までの彼氏からすると低スペックすぎてキャリーどうした?という感じがした。
と思ったら今度はめちゃ年上のアレクサンドル。彼も今までのタイプとかけ離れすぎててなんで惹かれたのかわからん。結局、自分を愛してくれる人なら誰でもいいのか。彼のためにパリまで行くが、なぜそこまでキャリーにさせたのか…。
アレクサンドルがどうこう、というより周りの友達はどんどんライフステージが変化していくのに自分がいつまでも同じ場所にいることから逃げたかったのかとも思う。
その気持ちは分かるが、仕事も友達も捨ててパリに行く決断は、考えがなさすぎてビックリ。ミランダじゃなくても怒るし、バカだと思うよ。
一緒にいるために女だけが全てを捨てて、男性側は何も変わらない…、このことの不公平さをもっと早く相手に伝えるべきだったのではないのだろうか。

最終的にはビッグのお迎えてNYにバック。「自立した女」とか言いながら、自分でしりを拭くこともできないのか、とちょっとガッカリしたな。
キャリーは結局、ずっとビッグのことが忘れられない6年間だったんだと感じた。
パリに行ったのも、昔パリに行くビッグが自分を捨てて行ったから、そのコンプレックスからの選択かも。
エイダンからのプロポーズを断ったのも、ビッグ以外の人のものになるのが心の奥底ではショックだったからなのかも。

ビッグ自体はどちらかというとサマンサタイプで、彼も加齢と病気で実生活のことを考えるようになって落ち着いたから、キャリーの元に戻ってきたんだろうな。

あんまり関係ないが、最後の最後でビッグの本名がJohnだと分かるのは、小説的でオシャレだと思った。
りりぃ

りりぃ