東京郊外の駐在所勤務だった佐治英雄(小林薫)は十年前に退職し、今も同じ町内に暮らしていた。ある日、北嶺亜弓(尾野真千子)という刑事が近所で起きた殺人事件の聞き込みに佐治を訪ねて来る。その事件の被害者は、かつて若い女性へのストーカー行為で佐治が逮捕した男だった。彼は服役後、今度はその女性を襲ってケガを負わせてしまった。佐治は自分がもっと注意していればと、そのことを今も深く後悔していた。 事件捜査を進める北嶺は、佐治が犯人であると思わせる物証に行き当たり、実直そうな彼が犯人ではないかと疑いを深めていく。自分が殺人犯だと疑われていることに気づいた佐治は、元警官の誇りにかけて無実を証明しようとするが、その一方で自分が犯人ではないかと疑い始める。なぜなら彼は認知症を患っているからだ。自分の無実を信じたい佐治と冷静に事件を追う北嶺の二人は、いつしか彼の心の迷宮に足を踏み入れていくことになる。
元警官の佐治(小林薫)を北嶺(尾野真千子)という刑事が殺人事件の聞き込みに訪ねて来た。被害者は女性へのストーカー行為で佐治が以前逮捕した男だった。北嶺は佐治の犯行を匂わせる物証に行当たり、彼が犯人だと疑いを深めていく。元警官の誇りにかけ無実を証明しようとする佐治だが、一方で自分が犯人ではないかと疑い始める。なぜなら彼は認知症を患っているからだ。佐治と北嶺はいつしか彼の心の迷宮に足を踏み入れていく。