宗政王朝の世は暗君により乱れていたが、新帝が即位して内外ともに平穏を取り戻しつつあった。そんな中、江南一の富豪の長子、金小宝は度重なる縁談の失敗に、天下一の美女を娶って世の至宝をささげ、見る目のない者たちを後悔させようと決意する。意気消沈して見合いから帰る途中、黒衣の男たちが1人の女を襲う場面に遭遇した小宝は、彼女の美貌に一目ぼれして従者の招財と進宝に助太刀するよう命令。見事、男たちを倒すが…。

金小宝は一目ぼれした美女・鄭懐恩が実は男だったと気づいた直後、媚薬に侵された鄭懐恩に襲われてしまう。それ以後、金小宝は鄭懐恩を恨んで復讐を心に誓うが、どんな美女を見ても鄭懐恩と重ねてしまい、混乱しきり。さらに、たまたま鄭懐恩の配下・左影の命を救っていたことをきっかけに、金小宝と鄭懐恩の奇妙な共同生活が始まる。しかし金小宝の幼なじみである蘇胤は素性の知れぬ鄭懐恩を警戒して、身辺調査を進めるのだった。

鄭懐恩の素性を調べさせた金小宝は、晋旗山ふもとの鏢局の跡継ぎだと聞いて胸をなでおろす。そんなある日、金夫妻が水入らずで寺へ出かけ、妹の小雨は自分も行きたかったと涙に暮れる。小宝は必死で妹を宥めつつ、ある秘密を思い出していた。その後、傷の特効薬を手に入れてこっそり懐恩を訪ねるが、傷だらけの体を見て愕然とする。一方、寺に着いた金夫妻は、富潤商会の面々と前二皇子・宗政予湛の動きについて意見を交わしていた。

病で寝込む金豹を心配する金小宝に、懐恩は父親からあらゆる罰を受けて育った自身の境遇を話す。すると小宝は、今後は自分が懐恩を守ると宣言するのだった。同じ頃、刺客に入られた金家は警戒を強め、屋敷の中にいる者の仕業ではと疑う声も出る。間もなく巷では、金家に消失した武芸の秘伝書が隠されているとの噂が広まり、金家は再び刺客に襲われた。そして一向に回復しない金豹を診た医者は、治療法がないと告げて帰っていき…。

太子の罵声を浴びた金小宝は、相手の素性を知らずに負けじと応戦。だが追い詰められた懐恩は、父に届けるはずの名簿を渡してしまった。そうしてやっと逃げ延びたところへ金家の配下が迎えに来て、相思相愛だと浮かれる小宝に懐恩が怪しいと注意を促す。それでも小宝と懐恩は、何が起きても心は変わらないと互いの気持ちを確かめ合った。後日、金豹が懐恩に屋敷から出るよう圧をかける中、小雨が姿を消したと金家は大騒ぎになる。

金小宝は父親の病を治す秘方を求め、知人のいる妓楼へ行くが、それを誤解した鄭懐恩は激高して妓楼へ乗り込む。ひどい仕打ちを受けた金小宝は鄭懐恩の凶暴さに恐怖を覚えるも、好きな気持ちは変わらなかった。一方、鄭懐恩は金小宝の釈明を聞き入れず、小宝の退路を自ら断って、自分だけを頼るようにするしかないと心に決める。その頃、鄭懐恩の素性を知った金豹はこれを殺そうと決断し、その晩、計画が実行されるが…。

馬車の中で目覚めた金小雨は自分が薛家の人間だと聞かされ、号泣して否定するが、懐恩がこれを一喝。いずれ彼女の両親や兄を迎えに行くと告げ、父の待つ晋旗山へと急ぐ。一方、獄中の金小宝は両親と慎王から懐恩の裏切りと本当の身分を聞かされ、狼を招き入れたと深く悔いていた。そこに小宝への報復を誓う斉暁彬が現れ…。その頃、金家の惨状を知った蘇胤は、金豹が真っ当な商人でないと知ってなお小宝を見捨てられず、救出に向かう。

突然現れた神医。彼は毒に侵された金小宝の解毒に希少な薬材が必要だと言い、自分が治療を施すためのある条件を突きつけた。蘇胤が薬材の準備に奔走する間も、小宝は何度も発作を起こし、激痛に襲われる。意識が朦朧とする中で懐恩の名を呼ぶものの、彼との決別を心に誓うのだった。片や、晋旗山で父に監禁されていた懐恩は、自由の身と引き換えに最後の任務を言い渡される。そんなある日、小宝が養生する蘇家に太子がやってきて…。

金小宝に会いに来た懐恩は事情を話して許しを求めようとするが、小宝は聞く耳も持たずに拒否する。それでも翌日、懐恩のところへ両親を迎えに行った小宝は、発作で失神。それを見て、自分のせいで小宝が毒に侵されたことを初めて知った懐恩は、大きく肩を落とすのだった。失意の懐恩を慎王と太子たちが取り囲み、危機一髪のところへ宗政予湛が現れる。長い時を経て弟の慎王と顔を合わせた宗政予湛は、やがて衝撃の真実を口にし…。

ついに金小宝の解毒に必要な希少な薬材・赤魔大麗炎が開花する時期が訪れた。足りない大麗炎を何としてでも揃えるため、懐恩は命懸けで赤峰崖へ採取に行く覚悟を決める。今生の別れになるかもしれないと再び会いに訪れた懐恩を、小宝は相変わらず拒むものの、彼が皇子の身分を捨ててまで金家の無罪放免を求めたことを知って、心が揺らぎ始めた。更に蘇胤による暗殺計画を聞いてしまい…。

懐恩は命懸けで赤魔大麗炎を手に入れるが、その時に毒に侵され負傷した。心配して神医に治療を頼む金小宝を見て、懐恩は喜びを隠せない。しかし、そもそも小宝の解毒に必要な大麗炎の目処がつき、懐恩を殺そうとしていた蘇胤が、それを実行しなかった訳とは…？そして、小宝は懐恩の治療と引き換えにまた条件を出そうとする神医に不審を抱き、彼にこれからも仕えると言う進宝を心配するが、進宝が意外な告白をして…。

懐恩は死んだと告げる蘇胤の言葉が嘘だと察した金小宝は、懐恩を生かしてくれるなら、妻を娶って子供を作ると泣きすがり、何度もその期待に背いてきたことを詫びる。そんな中、小宝の解毒が始まり…。同じ頃、朝廷に捕らわれて処刑が迫った宗政予湛は、懐恩を虐げてきたことを李功祥にとがめられ、赤裸々な胸の内をさらけ出す。そして懐恩にもう一度会わせてくれたら、統教に朝廷が望む命を下すと約束するが…。