良質なショートフィルムを8本まとめたようなドラマだった。依頼人から預かった消して欲しいデータを死後に消す仕事に携わる2人の青年の話。その消して欲しいデータは犯罪の証拠だったり友人との思い出だったり様々で、依頼人は必ずしも善人というわけではない。本作では人の死を通して本人や周囲の人間の魂を引きずり出す、苦さを伴う営みが描かれている。そしてその中にはもちろん坂上姉弟と祐太郎も含まれている。
死んだ人の痕跡を辿る話という性質上、どの話も死者の不在が際立つ。死者を追い越して生きていく親しい人間に何を残したいか、何を残したくないのか。
個人的なお気に入り
2話の音楽仲間との生前葬
3話の想い人に薔薇を送る老人
4話の孤独な青年の幼い頃一瞬だけ会った女性に対する生涯をかけた献身
6話の自殺した少女と人間の欺瞞
