放送当時絶対に観ていたはずだけど、小学生だったこともあり改めて新鮮に楽しめた。15年ぶりに観たJINは、深くて、重くて、泣ける話だった。
森下佳子さんの『大奥』はこの作品の進化形だったのかなとすら思うテーマの繋がり。
現代の医者が幕末にタイムスリップして、現代の医術で患者を救う医療モノであることには間違いないが、それをただ英雄譚として描くのではない。
南方仁は、優柔不断で鈍感で、自分が医療を行うとどうなるかうだうだと思い悩み、現代にいる昏睡中の恋人に脳内でひたすらに語りかける。咲と龍馬をはじめとし、誰かが背中を押し支えてあげないとなかなか前に進めない主人公。
そんなだから、周りが協力しようと立ち上がってくれる。一人じゃなくて、みんなで立ち向かう。
コロリとの戦いから始まるが、コロリ以降は、遊女の感染症の話や、堕胎手術をして敗血症になった女性の話など、吉原の女性たちに纏わるテーマの多さに驚いた。日曜劇場でこんなセンシティブな内容を突きつけていたとは。小学生の私は恐らく深く意識していなかっただろうが、女郎の置かれる立場を語る野風の台詞たちは現代にも訴える痛切な叫びだ。
モノマネが流行ったせいもあるのか印象的なのは綾瀬はるかの咲だと思ってたけど、未来、野風の二役を演じた中谷美紀が良かったな。
「泣いても一生、笑うても一生。ならば今生、泣くまいぞ」