Siesta

フリーター、家を買う。のSiestaのネタバレレビュー・内容・結末

フリーター、家を買う。(2010年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

すれ違いばかりでも、しあわせな家族。
いい人ばかりなのは否めない。ご近所トラブルで引越しというのも腑に落ちない部分はある。残業美化、労働讃歌ともとられかねない描写は、今日では賛否両論を巻き起こすかもしれない。でも、この作品には大切なメッセージがたくさんある。
家族でも言っていい事と悪い事がある。
誰でも続けられる仕事じゃない。
泥まみれの毎日だけど、今さら悩んだりはしない。
誠二の家族をめぐる葛藤は、家族を見捨てる事ができない誠実さがあるからこそ。
それから、原付バイクが誠二という人物を描写するにあたって、重要なアイテムになっていたと思う。映画「キッズ・リターン」に関して、淀川長治は「自転車がいい」と言っていたそうだが、原付バイクも青春に近いイメージを想起させる。ただ、原付バイクは普通、高校生から車の免許取るまでのつなぎであって、載っている年齢層は限られる。つまり、原付バイクは、自転車以上に青春にピンポイントな乗り物だ。そんな中、学校を卒業し、社会人にもなって原付バイクを乗る者は珍しい。そういう意味で誠二の“取り残された人間”というニュアンスにつながり、それでも尚もがく彼の姿の痛ましさ、勇敢さに胸を打たれる。そういえば、大学を卒業してもバンドとつなぎのバイトばかりしている男主人公の「ソラニン」でも、原付バイクを乗ってたなぁ。
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