レインウォッチャー

ベター・コール・ソウル シーズン2のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

4.0
このシリーズが親の『ブレイキング・バッド』と比べて優れている、というかありがたいことの一つに、応援したくなる女性キャラクターの存在がある。即ち、ヒロイン枠と戦友枠を兼任するキム・ウェクスラーだ。

主人公ジムにとって、彼女は未来そのものといえる。今シーズンでは公私共にキムとの関係が進展し、ジミーはその環境を守ろうと奮闘する。(しかしその行動は時に2人のためというよりもエゴが勝つものだ)

しかし一方で、その未来の足を引っ張るのは常に過去だ。この過去の象徴は、言うまでもなくジミーの兄・チャック。ジミーが誰よりも気にかける存在であり、同時に何よりも高い壁でもある。チャックは「正しい」人物なのだけれど、その正しさがジミーも、チャック本人すらも追い詰めていくことに気づかない、あるいは、気づいていても後戻りできない。

2人の関係は公私と愛憎が立体的にこんがらがった複雑なもので、その解決は容易でなく、少しずつそのピースが明らかにされながら、以降のシーズンにも引き継がれていく。

今シーズンの最終話、ジミーを挟んで過去と未来=チャックとキムが対峙する。そこで2人が語る内容は、事実と真実がいつも同じとはならないことを教えてくれる。物凄いシーンだ。