レインウォッチャー

ベター・コール・ソウル シーズン4のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

4.0
前シーズンのラストに起こった事件の衝撃は長く尾を引き、ジミーはなかなか現実と向き合うことができない。
半ば逃避の一環のように始めた携帯電話ショップの仕事をきっかけに、グレーゾーンの奥へと少しずつ足を踏み入れていく。果たして監察期間を終え、弁護士資格を取り戻すことができるのか?が今シーズンの目的。

そんな彼とすれ違ったり期待を裏切られたりしながらも、献身的に支えようとするキムはまさに守護天使のような存在。どんだけ優しいねん…とか思うけれど、実はキムも、ジミーがもつダークサイドに惹かれている節があることもわかってくる。(要するにだめんずでは…)

弁護士資格を取り戻すということは、どんな弁護士になりたいのか→どんな自分でありたいのか、を自然と模索することになる。
大口の企業相手よりも公選弁護人としての立場にやりがいを見出すキムはちょうどジミーの鏡像のようになって、ジミーもまた「ソウル・グッドマン」としての輪郭をぼんやりと見つけ出していく。

ジミーの姿は、次第に『ブレイキング・バッド』のウォルターと重なってくるようだ。ウォルターも「家族のため」「金のため」という大義名分を自分でも信じ込んでドラッグ作りの世界に入り込んでいったけれど、実際はごくシンプルな「これをやってる俺が一番好き」という天啓のような感覚が根本にあった。

ジミーもきっと同じで、「二度とやらない」と反省してはまた無茶な奇策でトラブルを起こす姿は無責任な嘘つきにも見えるけれど、彼はそれを「やらずにはいられない」のだ。奇しくも、ドラッグ中毒のように。
各シーズンの冒頭にある現代パートで、ジミーがサングラス+薄い頭髪+ヒゲなのは、やはりウォルターを想起させる。

見出した自己実現、天職がアウトな世界だったなら、それは幸か不幸か?
自分はえげつない怪物を生む手助けをしてしまったのではないか…というような、キムの複雑な表情が心に残る。

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あと、ジミーもマイクも結局しごできで羨ましいぞ。