よう

青い鳥のようのレビュー・感想・評価

青い鳥(1997年製作のドラマ)
4.0
(再鑑賞。放送当時視聴してた)
地方の駅員が子持ちの人妻と不倫して、3人で逃避行する物語。
第一部「北へ」と第二部「南へ」の二部構成。

野沢尚脚本。
自分が初めて野沢尚という脚本家を意識して見たドラマだった。
この翌年、野沢さんは『眠れる森』の脚本を手掛け、自分はそこでファンになった。

BS-TBSにて再放送されていたので視聴。
当時も面白く見てた記憶だけど、部分的にはピンとこない箇所もあった。
それもあってか、最終回後もなんか妙に引っかかるドラマだったのは確か。


地方の町を舞台に序盤は丁寧に話は進行。
主人公と人妻が恋仲になるまでや、いざ逃避行するまで、静かめに描かれる。
このドラマ、大きく話が展開するポイントが何回かあるけど、その飛躍までの助走はたっぷり。前段階をきっちり見せるからこそ、視聴者を置き去りにしないのかもなあ。
話の転がし方の大きさで面白がらせる要素もあるけど、それを受けての登場人物たちの心情を見せるドラマではある。


主人公のキャラクター。
真面目で物静かなタイプなので、人妻と駆け落ちするという大胆さは持ってなさそうな人物。そんな彼がレリゴーしちゃう面白さがある。
彼は、願い事を訊かれて「ない」と答える人物。そんな彼が人生を投げ売ってでも手にしたい幸せを見出す話なので、なんかつい彼の行く末を見たくなっちゃう。


〈悲劇を含むおとぎ話〉
『青い鳥』ってタイトルということもあり、このドラマは幸せを見つけるまでの物語。
ただ、どうしてもこの物語上の幸せというものが飲み込みづらい。背徳さがあるのでね。その背徳性があるからドラマとしてはハラハラすることができるわけなんだけど。
本人たちが幸せならいいだろとも言えるけど、見るこちら側が本人たちを理解しきれるかって言うと難しいところもあるかなあ。


メインキャストが見事。
トヨエツの物静かで陰のある感じはいい。夏川結衣もまた陰のある役がハマってる。
この二人は黙って立ってるだけで画になる。
佐野史郎の怪演ぶりは作品トーンに合わせてやりすぎない感じで、そこもまたいい。
鈴木杏、山田麻衣子の二人は「最適な人をよく見つけてきたなあ」っていうね。


気になっちゃう箇所もいくつか。
全体的に女性登場人物の描かれ方は今のバランスではないかと。
かほりは男に人生を左右されすぎだし、美紀子は主人公にずっと好意を抱き続けるタイプだしね。
これは当時から危うさ込みだったんだろうけど、第二部における主人公と詩織の関係性が変化していく。フィクションとはいえ、そこはいちばん飲み込みづらい要素。
というか、そもそも女性全員が主人公に惚れすぎではある笑。

このドラマ、後日譚を含めた完結編ってのがある。
そこでの後日譚が「え、そうなっちゃうの?」って感じ。


とはいえ、フィクションだからこその物語を堪能できるドラマ。
全国縦断ロケで、静かな慕情感とスリリングさを併せ持つドラマってめったにないしね。
よう

よう