レインウォッチャー

ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン4のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

3.5
離れて暮らす仲間たちがそれぞれの課題に直面する中、裏側の世界から忍び寄る新たな刺客。敵の正体を探る先に、一行はエルの過去に隠された秘密へと辿り着く。

これまでの中で最もダークなムードに覆われたシーズン4。かつ、次のシーズン5が最終章と判明済のためか、終わり方も明らかな「俺たちの戦いはこれからだ」エンドだった。

なんだかんだ最後には記憶に残る大団円ラストが用意され、各自の課題の解決が提示されていたこれまでのシーズンと比べるとやはり消化不良感が残る。エルのままならない高校生活を始め、冒頭で示された課題も多くが未解決のままだったり…というか、この状態で次を待つのが単純にしんどい…というのが正直なところ。

ストーリーの面でも風呂敷を広げた割に結局はエルのパワー頼りになってしまった印象があって、シーズン3などに比べるとカタルシスは弱め。
このあたりは、6話までとラスト2話で配信時期が分けられて、「待ってたにしては…」という気持ちも大いに働いていると思う。こういうのはエモーショナルな勢いも大事だと思うのだけれど、待ち時間の間にクールダウンして期待や想像が膨らんでしまったという、同じ心境にハマったリアルタイム勢は多かったのではないだろうか。

まず文句ばかり並べてしまったけれど、もちろんアツい瞬間はたくさんあるし新しい試みも多い。

今回は初めからみんなが物理的な距離で隔たっていて、さらには裏側の世界へ積極的に入っていく等、『ストシン』伝統の分散→収束パターンにさらに立体的なパラレル感を与えている。
これはコロナ禍を経た避けられない「分断」を想起させるものであるし、前シーズンで示されていたいつまでも一緒にはいられないという現実を誠実に受け入れつつ、しかしそれでも物語は終わらないし、離れていても助け合うことができるという成長を見せてくれていると思う。

ウィルのセクシュアリティに関する踏み込みも、ほとんど恋愛のいざこざベースで固定されていたような彼らの人間関係に楔を打つもの。最終章は彼の物語になって欲しいな。

あとはやっぱり、ケイト・ブッシュのアレはもう…ごちそうさまでしたと言うほかないというか、ケイトファンからすると「そりゃあケイト様なら次元の壁くらい越えるよね」ていう納得感で勝手に鼻が高い。
エピソード配信後にはiTunesのランキングTop10内へRunning Upするなど、『ストシン』の影響度をあらためて窺い知れる事件でもあった。(地味に、メタリカのアレも上がってきている)

今回はとにかく、今までの伏線や謎と呼ばれるものをいったん巻き巻きで回収してトントンってしました!だと思っている。精算は終わったのだ。
深い傷を抱えつつも、ラストでは再びホーキンスに集合したみんな、心からおかえりなさい。最終シーズンではやっぱり一緒なら最強、という爆発に期待したい。(でも4年待つのは無理よ)