レインウォッチャー

ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン2のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

4.5
今シーズンは、それぞれの登場人物たちが前シーズンにおいて負った後遺症(あるいは負債とも呼べる)に対してそれぞれの方法で向き合うための物語になっていると思う。
その中で新たな出会いや成長があり、別れもある。傷と経験を共有し、少しだけあるべき自己像にたどり着いた彼らは、真の意味で家族になる。

それを経て迎えた最終話の美しさは忘れ難くて、ご褒美のような時間。確かに残る痛みと、それを柔らかく包む暖かさ…
ダンスパーティーに流れる『Time After Time』、言わずと知れた超有名曲だけれど、こんな素敵な使い方は他になかった。

If you're lost you can look and you will find me, Time after time.

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新たに主要キャラクターとして参戦し、重要な役割を果たすスケボー少女マックスと義兄ビリー。

マックスは新たなパーティの一員として少年たちの小さな世界をかき回すと同時に、現実的なツッコミラインを維持する役割として。

そしてビリーは次シーズンへの布石ともなる、怒りと恐れの象徴だ。しかし彼もまたアメリカの「男らしさ」の犠牲と反動で生まれた人物であることがわかる。
今シーズンは(というかこのドラマ全体かも)そのあたりへのアンチテーゼもまた、さりげなく含んでいると思う。

オタクの知識で勝つ(ボブのまさかの活躍)、という展開がまさにそうだし、ビリーと対照的な人物として成長を見せるスティーブの姿が象徴的だ。
チャラいリア充と思いきや実は「素直なイイ奴」だった彼が、今作では弱い者を守るために何度も立ち向かう。彼の背中には「男らしさ」の正しい使い方を確かに見ることができる。

そして爆誕する「スティーブ&ダスティン」という愛おしすぎる不思議なブラザーフッド。
学校一のイケメンと学校一の虐められっ子が、どこかルーザーの共感をもって手を握りあう。単なるコメディリリーフに終わらない腹落ち感に満ちた二人の勇姿を、これからも『見つめていたい』。