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13の理由 シーズン1のKinaponzのレビュー・感想・評価

13の理由 シーズン1(2017年製作のドラマ)
3.4

『ツイン・ピークス』(リミテッド・イベント・シリーズ) に関連した
滝本誠さんと町山智浩さんのトークイベントで

本作が『ツイン・ピークス』の影響を受けて作られており

新しい『ツイン・ピークス』と云われていたため

これは看過するわけにはいくまいと勇を鼓して鑑賞しました。

勇を鼓してというのは、エピソードが49もあるからで、
またその内容もシビアで全話観通せるのか
心もとなかったからでもあります。

それでも何とかシーズン1の全13話を観終えて
ひと区切りつきましたので投稿することにしました。


17歳の女子高校生の死から始まる物語が

彼女に関わりがある者たちの心ない言動や
人の気持ちを顧みない振る舞いの残酷さをあぶり出し

学校内外に波紋を拡げて
暗部を照らし出していくという図式は

確かに『ツイン・ピークス』を彷彿とさせます。

ただその趣はかなり異なり、
まったく別のドラマと云うのが最初の印象でした。


本作品は、今日的かつ普遍的な
いじめや差別、格差がテーマとなっており、

その描写もリアルで生生しく、愉快なものでは決してありません。

(一気観には適しませんでした。)


新しい『ツイン・ピークス』と云うよりは
NHKで長年放映されていた『中学生日記』の米国版

と云う方がしっくりくるようです。

全体でシーズン4まであるので、
今後どう展開していくのかはわかりませんが、

ともかくもシーズン1を観終わって感じたのは

事の真相や秘密というものは、重ければ重いほど
それらが明るみに出て、さらけ出されたとき

却って途方もない開放感と清々しさを
秘密を明け渡したものにもたらし

努力するだけでは到底到達できないステージへ
彼らを一気に押し上げるものだということです。

もちろん、それらを抱えている間は
身を切られるような苦痛や後悔に終始苛まれつづけており、

秘密を打ち明けたときに起こるあらゆる反応にも
耐え抜く覚悟を備えていなければなりません。

そうした並々ならぬ苦難を経て、苦しみぬいたその先に、

未熟な若者が一個の大人へと変貌を遂げると云うメッセージが

シーズン1のラストには込められていると
筆者は受け取りました。
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