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アンという名の少女 シーズン3のsoopenのレビュー・感想・評価

4.0
原作を読んだこともなく、大昔の映画の記憶がうろ覚え、という状態でのこのドラマの鑑賞は非常に楽しめました。原作ファンには驚くべき脚色で、受け入れ難いファンも少なからずいたとか…

何より感じたのは、昔の人は働き者だったということ。北緯46度で北海道稚内市と同程度との情報に、それであんなに薄着でマシューもマリラもよく血圧上がらないね、と。
便利な電化製品もないから、当然全ては手作業、それなのに朝から晩までキビキビ働き、干草を乾かし、ジャムを作り、品評会に出すケーキを作ったり野菜を育てたり。

冬になれば毎日雪が降り氷点下の大地で生きていくには、どれだけの頑丈な体が必要だったのか?ドラマ後半で謎の病気で亡くなった若い女性が、医師に病名も告げられず手の施しようがないというゼスチャーで納得させられてしまう、そんな医療が何の役にも立たないこの時代のこの社会では、希望を奮い立たせて前向きに生きていくには、どれほどの人と人との強固な繋がりを必要としたのか。丁寧に描かれた説得力のあるストーリーと、ディテールにこだわった時代考証に引き込まれました。

しかしそんな密な人間関係が必要な時代と場所であってすら、差別は発生するもの。黒人、ネイティブインディアンに対しての差別は、貧乏人や孤児以上の警戒心丸出しの人々。原作が手を伸ばせなかった部分にまで立ち入った、勇気のあるこの作品だけに、ここで終了は勿体ない。続きを切望する投書がNetflix 史上最大というのも頷けます。是非とも続きを!アンの更なる成長と、世の中の変化を見せて欲しいです。
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