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金田一少年の事件簿 学園七不思議殺人事件のドントのレビュー・感想・評価

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 1995年。週刊少年マガジン連載のミステリ漫画の初ドラマ化、2時間枠のスペシャル。金田一耕助の孫、金田一はじめが事件に挑む。演出は後に『TRICK トリック』『ケイゾク』を手掛ける堤幸彦。
 原作では4話目に当たる「学園七不思議」をゼロ話に持ってきて、金田一を転校生にすることで人物や設定の紹介をスムーズに行うなど秀逸な脚色が光る。さらにキャスト、原作の「普通の高校生」からキャラの最低ラインが「尋常でないアホ」へと引き下げられた金田一を堂本剛が見事に演じている。これ堂本剛は「アホ」「普通の高校生」「探偵」の三段階で切り替えていて、「アホ」と「探偵」のギャップが激しいので、元の5倍くらいカッコよく見えるんですわ。
 ヒロインたる美雪=ともさかりえも母性的な原作からシャープなしっかり者へと変わっていて、カップルというよりコンビとして魅力的である。剣持警部(古尾谷)もベテラン刑事らしい厚みと渋みと慇懃無礼さを持ち、終盤まで金田一に敬語なのがいい。他の役者もほぼピッタリ。モブの生徒たちも多くて賑やかだし、若い人が多いのに演技がアレな人がまぁいないのが偉い。「魔術師」って言いづらいのにね。堤幸彦の演出はさすがにちょびっと古いものの、普通のドラマ的でない、ハッタリの効いた大胆な感じは今の人にも伝わるのではなかろうか。歩くはじめと美雪の背中をカメラが追っていくシーンとかオッ、ってなりますね。
 で、原作から真相部分が(金田一耕助の『獄門島』的に)ガッツリ変えられており、これが当時はハイパー気に入らず、テレビの前でエーッ、イヤーン、と思った記憶が甦ったわけですが、見返すと駆け足な部分はさておきまぁこれも、アリ! と容認できた。懐かし補正もあろうが、今観ても楽しめるというのはこれなかなかすごいことなのではないか。あとホルマリンの生首はどう撮っているのか今観てもわからない。それから、ここに書くのも変だけど、連ドラ化した際の第1話「異人館村」、トリックを丸パクリしたあの作家さんに土下座してどうにかソフト・配信できませんか?
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