ワタ鍋

全裸監督のワタ鍋のレビュー・感想・評価

全裸監督(2018年製作のドラマ)
4.0
スピード感のある展開と未知の世界を知る感覚が楽しく、決まりきったテンポで恋愛劇や主人公の成長を描く民放ドラマとは違うなと思った。

もちろんそれは作品の舞台がAV業界であるということが大きく作用しているし、主人公がそのAV業界を形作ったといっても過言ではないほどの大物監督だからだろう。

出てくるキャラクターも「マトモな感覚の持ち主」がほとんどいない。警官ですら一目見た瞬間にどっかのネジが飛んでると分かる。

そしてこのドラマで最も重要なメッセージは"ありのまま"ということだと思う。
村西監督は"ありのまま"でいることを美しさと捉えていて、池沢は"隠れていること"を美しさと捉えていた。
どちらが正しいかではなく、どちらが求められたかが、ドラマの成り行きに表れていると思った。

だからこそ村西監督と黒木香の出会いとデビュー作がこの作品の中で一番輝いているのではないかと思う。

全裸監督に関して様々なニュースが報じられている。

それは主に批判的なもので、それが報じられる前までは一般人のみならず芸能人が賞賛の声をSNSなどで挙げていた。

1つの作品に対して好き嫌いがあるのは当たり前のことで、日本人ならではの集団心理が"批判的な報道"によって刺激され、批判的な意見が多く見られるようになった。

‪Netflixは海外オリジナルドラマでもセックスシーンはほとんどある。ただ日本のオリジナルドラマとの違いは、作品で伝えたいことは別にあって、セックスシーンはそれを伝える過程の一部でしかないということだと思う。

‪全裸監督の場合、黒木香の部分から充分伝えたいことを感じ取れるが、"ネット配信である"という点に甘え過ぎず、その媒体の自由さを生かした作品創りが内容の充実さに繋がっているのかが論点ではないのだろうか。

‪全裸監督の場合、セックスシーンに重きを置いているのではなく、主にAV業界の発展に大きく関わった村西監督の人生を描いていて、それを描写するにはセックスシーンが欠かせず、またそれの品の良し悪しは視聴者への配慮とは別問題として考えなければならないと思う。

黒木香さんはこの作品にとって欠かせない存在なので、権利についてはちゃんと管理し、次のシーズンも更に素晴らしい作品になることを期待します!‬
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