マグルの血

古畑任三郎 FINAL 今、甦る死のマグルの血のレビュー・感想・評価

古畑任三郎 FINAL 今、甦る死(2006年製作のドラマ)
4.6
このエピソードはネタバレ厳禁ですね。

これまでの古畑は犯行シーンを放送し、犯人がわかっている状態で、古畑がどう犯人を追い詰めるかを楽しむストーリー。所謂倒叙ミステリというやつです。

本作は倒叙ミステリという要素をミスリードとして使い、長年の視聴者が体験したことのない新しい手法を用いたストーリーとなっています。本格ミステリーです。

キーマンとなる藤原竜也は名家である堀部家の次男。経営難の堀部パンが経営を立て直すために、家が所有する裏山の売却を余儀なくされていたが、納得のいかない次男は売却を止めるべく社長である兄の殺害を企てます。

いつものように犯人を追い詰めていく古畑ご一行ですが、この事件には想像も出来ないような大きな秘密が隠されていた、というストーリー。

かつてない犯人の鮮やかな手口と、従来の古畑が課していたルールを崩すという斬新な演出に驚きました。そして真犯人と古畑の対決も非常にスリリングな仕上がりに。

惜しむならば、勘のいい人はオープニングのクレジットで概ねの犯人の予想ができてしまうところ。あと、ヒューマンドラマとしての側面がだいぶ薄まっている点ですかね。
本格ミステリーとして十分に練られた結果、キャラクターの個性やユーモアは削られている印象。まあそれでも古畑の事件との関わり方については過去最高の出来かもしれません。
個人的にもトップ5に入るエピソードになったと思います。

作中、過去最高クラスの虐待を今泉に行います。職権を乱用したいじめです。衝撃シーンなのでフィクションをフィクションとして捉えられない人は心配です。私は彼らの狂った関係性が好きなので笑いました。

藤原竜也が今泉に向かって視聴者の本音を代弁するようなシーンがあります。
どんな殺人犯より今泉の方が社会不適合者だと思います。
マグルの血

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