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コンフィデンスマンJP 運勢編のCureTochanのレビュー・感想・評価

コンフィデンスマンJP 運勢編(2019年製作のドラマ)
4.4
日本語の映画や芝居は、評価が楽だ。先日、「ノッティングヒルの恋人」をネトフリの英語字幕で再鑑賞したんだけど、まだまだわかってないセリフが多い。妹の誕生日に、ヒロインに対してヒュー・グラントがこう言う。

Pathetic effort to hog the brownie.

彼女が、有名な女優でも不幸だ、という具体的な話をして、みんながしんみりしてしまう。だけどそれも演技だ、騙されないぞ、と場を明るくする部分である。訳すと「涙ぐましいね、ブラウニーを貪るために」という意味だけど、ネトフリ字幕では「そんなに食べたい?」と上手に短くしている。でもここで"hog"という、あまり耳にしない動詞のチョイスがどんな効果を出してるのか、ニュアンスを知りたい。それも、出会ったばかりのいい感じのカップルの会話として、どうなのか?最近、役に立つのは映画の一部を紹介したYoutube動画のコメントだ。英国風のユーモアがいい、なんて書いてても、それがどこの国の人の感想なのか、わからないけど。

たしかに場面としては、ヒュー・グラントの友人たちが善人であることが伝われば良しだったりする。でも会話のどこが面白くてアナ・スコットが笑っているのか。あの誕生パーティのくだりは、アナの人柄が皆にわかる場面でもあるのだから。そして何より、コンフィデンスマンJPなら、セリフの含意はつぶさにわかるのである。洋画の興行収入が低い理由は、まさに、わかりづらいということにあるのではなかろうか。文化の違いも大きくて、韓国や中国ならわかりやすい。これは間違いない。

本作はテレビドラマのスペシャル版だが、ミステリドラマとしては映画より面白い。でも意外と内容は憶えていなくて今回、鑑賞が二回目だということも私は気づかず、娘から指摘された。しかも感動したはずのオチも忘れていた。ただ、すごく面白いけど、コアになっているテーマが「運勢」というライトなものだったことは映画に向かなかった。いっぽう「ロマンス編」の映画の方は、オチがシンプルで浅かった。よかったのは物故者となってしまった三浦・竹内の活躍する中盤であった。

映画を論評するにも、文句を言うだけでなく建設的な話をしたい。ここを直せばよくなる、といった格好にしたいが、長澤まさみが物足りないということについて、よい対案が浮かばない。スタイルが良くて、うまい女優を発掘するべきだ。このたび大河ドラマのナレーションをやってて不評らしいけど、そりゃ声にマジックがないのに無理筋だと思う。大河自体にはちょっと興味あるけど、テレビドラマは見逃したら、ほかに観るものがあるからなぁ。
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