とうがらし

そして、生きるのとうがらしのレビュー・感想・評価

そして、生きる(2019年製作のドラマ)
4.2
気仙沼震災ボランティアの男女が、出会いと別れを経験する9年間の話。

ボランティアを経験した人々のドラマ(全6話)。
岡田惠和の脚本は本作がベスト。

被災者とボランティアとの距離感、被災地の空気感は、日本の震災映画、ドラマの中でも、本作が最もリアルに表現されている。
震災の痛みを強調しすぎて、真正面にしか描けない震災作品が多いが、本作はボランティア後の人生(被災地から離れる期間)を設けることで、かなり現実に即している。
震災ボランティアで、長年いろいろな人と接してきた私から観て、そう感じる。
私も、皆さんのためにと純粋な行動からボランティアを始めたが、ボランティアを重ねることで、自分に足りない何かを求めて被災地に来ている、自分の愚かさに気づく経験があった。

共感重視や感情移入しながら観る人(フィクションにカタルシスを求める人)には、合わない部分もあるだろう。
特に、清隆(坂口健太郎)は、甘ちゃん思考で腹が立つ。
が、そんな息子を育てた母との関係も含めて、妙に現実味があって素晴らしかった。
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