そのじつ

W 県警の悲劇のそのじつのレビュー・感想・評価

W 県警の悲劇(2019年製作のドラマ)
4.0
かなりいい。芦名星主演とのことで見てみた。
県警ただ一人の女性警視で監察官である主人公松永(芦名)。県警上層部から申し付けられる仕事を、彼女なりのスジを通して解決していく・・・と書くと前向きな女性刑事が男社会に風穴をあける!的な雰囲気を想像するが・・・違う。

芦名が戦う相手は警察の古い体質(男の上司たち)だけでなく、共闘を志す女たちなのだ。そのどれもが一筋縄ではいかない複雑怪奇な構造で芦名演じる監察官に絡んでくる。ドラマのキービジュアルを見て貰えばわかると思うが、非常に湿度の高い、イヤ〜な後味の物語に仕上がっている。
たまに良い子もいてホッとするが、それはそれで視聴者に仕掛けられたトリックがあったりしてやはり普通では終わらない。

芦名のスレンダーでシットリとした美貌やハスキーボイスにウットリできる快感はもちろんだが、芦名とタイマンをはる女優たちも実力者ぞろいで演技・絵ともに見応えがある。
毎回心地よい緊張感をもって見られる良いドラマだ。

個人的には戸田菜穂の回が好きだった。


以下ネタバレ…

フェミニズム的発言を繰り返す松永の存在は、主人公でありながらどこか空疎だ。その空なフェミニズムを暴くように、松永が対峙する女性たちは行動する。

第1話にして、真相が主人公の貫くべき正義を裏切っている。そこを皮切りに、松永の唱える理想と女たちの実情の乖離を毎回描き出し、最終回では頂点に。

結局「フェミニズム」というお仕着せに囚われる在り方は、ミソジニーと同じくらい不自由で歪んでいる、と告発するような本作のメッセージ、なかなか面白かった。
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