完璧。
原作は僕のオールタイムベスト一位のコミックなんですが、その続編がまさか、原作者の手を離れた状態でここまで革新的な映像演出のもとに実現するなんて。
正直ビビりました。
中でもリアルタイム視聴した立場でいえば、この作品のおよそ一年前にネットフリックスで配信されていたアニメ「ボージャック・ホースマン」シーズン4の「時の流れはただ」の演出を恐るべきスピードで実写ドラマで再現してみせた第六話が秀逸。60年代のフラッパーズの名曲「煙が目に染みる」のアーサー・キットによる美しいカバーをバックに展開されるあのシーンは、怒りを通り越して切ない。
また第三話は、女性探偵のハードボイルドとしてフレッシュで楽しかった。かつてのシルクスペクターが、宇宙の彼方に消えたであろう元カレに向けて、ジョークを披露するシーンは彼女の中に息づく父親の血が感じられて、いい。
このときのジョークもよく考えると「ボージャック・ホースマン」で、梟のガールフレンドがボージャックに披露した腐葉土にまつわるジョークのサンプリングである。
そして何より、映画版が逃げた宇宙イカの惨劇をきちんと描いてくれたことに僕は拍手を送りたい。
俺はあの理不尽な景色こそ劇場で観たかったのだ。