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青天を衝けのpokotanのレビュー・感想・評価

青天を衝け(2021年製作のドラマ)
3.8
渋沢栄一。
新紙幣に採用されたことは知ってたけど、何をしたかはいまいち分かってなかった。 

今大河ドラマは、毎度ある徳川家康の舞台的な説明的な始まりからして驚く。

渋沢栄一の幼少期の子役の小林優仁から吉沢亮に変わるタイミングは、元々の童顔と無邪気な感じの演技力であまり気にならなかったけど、七郎麻呂(徳川慶喜)が幼少期の笠松基生から草彅君に変わったのは、一気に老けすぎてやや違和感。

栄一は、百姓の身であるがゆえの不条理を身に染みる。
徐々に我慢していた気持ちが、こんな世の中を変えてやると決起し、京に登り、武士となっていく。

14話が、1話の冒頭の慶喜との出会いのシーンに繋がり、栄一のターニングポイントとなる。
ぐるぐる。

そして、恩師である平岡円四郎との別れ。
一橋慶喜に仕え、命によりパリへ行くことで、新しい世界を知る。

後半は、徳川幕府の崩壊後の日本の新しい時代を作る上での迷走と、実業家の才を発揮して日本を良くするために現代では当たり前の生活基盤である銀行や郵便などを栄一は次々と作っていく。

26話での家族と慶喜との再会には涙した。
平九郎という犠牲を伴い、各々の心に大きく傷が刻まれた。
そして、追いやられ変わり果てた慶喜と再会後の別れ際の「どんなにご無念だったことでございましょう」という栄一の言葉(吉沢亮の演技)が素晴らしかった。

やはり徳川政権での話の方がドラマ的で有名な偉人や事件も出てきて面白かったが、後半は渋沢栄一が日本において何を成し得たのかを描いており、現代の生活を築いた人物として興味深かった。
実業家という枠だけではなく、海外へも渡り、日本の外交にも貢献していたのは凄い。

晩年は、吉沢亮の顔が童顔だから、年寄りには到底見えない風貌ではあったのが、やや残念ではあったけど、全体を通して、改めて綺麗な端整な顔に加え、何と言っても、確かな演技力で惹きつけられた。

最後は、お百姓で土を耕す若かりし姿で、がむしゃらに日本の基盤を作り走り抜けた人生そのものを表していて、素敵なラストだった。
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