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W -君と僕の世界-のsoopenのレビュー・感想・評価

W -君と僕の世界-(2016年製作のドラマ)
4.6
2度目視聴。1度目はただ夢中でストーリー展開の速さに着いていこうと必死で、この作品の良さや、作家の本意がどこにあるのか、よく分かっていなかったことが、2度目視聴で判明。とはいえ、疑問点は多々残りますが、そこはファンタジーなので、解釈を自由にさせてもらいました笑

Wという、漫画の世界のヒーロー、カンチョルは、元射撃のオリンピック選手で、親弟妹を射殺した疑いをかけられ、最高裁で証拠不十分として釈放されてから10年後、成功した億万長者の青年実業家として表舞台に登場し、そこから破竹の勢いで、親殺しの犯人探しを始める為に、未解決事件解決に乗り出していく、というストーリー。
これが33巻まで続き、現代で大人気作家となった漫画家オソンム。しかし彼にはこのWEB漫画の続きを描くのを心底嫌がって、カンチョルを早く殺して終わらせようとする理由があった…

このカンチョルというキャラが、ビジュアルはイジョンソクなので、手足長逆三角形属の異人種、しかも超小顔の色白美男子、というだけで素晴らしいのに、頭脳明晰、スポーツマン、女性の扱いも心得ている完璧人間として、赤いスポーツカーで登場するシーンには、うっとりを通り越して目が釘付けでした。(イジョンソクのウィンクが作中炸裂!ウィンク魔…)
このカンチョルが、数々の受難に対峙し、傷付き、悩み、選択実行し、ヒロインに何度も助けられながら命を繋ぎ、世界の謎やカラクリを、推理していく様子は圧巻です。ヒロインのオヨンジュは、大病院の胸部外科レジデントなのに、全然仕事していないんじゃない?という位、カンチョルに翻弄されて、現代と漫画世界を行き来し、危険な目に遭いながらも、恋に落ちていく、その一生懸命さが健気で可愛かったです。カンチョルが、彼女のことを、「見つけた、俺の人生の鍵」というのも意味があってのことですが、ドキドキしました。
また、オソンム先生のアシスタントのスボンや、オヨンジュの指導教授のパクミンスがコメディー路線で沢山笑わせてくれたのも、この後半ホラーテイストになる中ではいいスパイスでした。

ここから下は、盛大にネタバレしています。これから視聴しようと思う方はご遠慮くださった方がいいかも知れません。
















疑問点など

①タブレットは持ち主のオソンムにしか使えないと言っていたのに、娘のヨンジュには使える…それならアシスタントでも良かったのか?

②漫画の終わりの「続く」の文字は、最初はカンチョルの動揺がきっかけだったのではないのか?後半は神の意志としか思えないタイミング…

③現実と漫画の世界を自由に行き来出来るカンチョルなのに、なぜ主人公認定が解けて存在が危うくなったのか?

④主人公と真犯人は相反する存在。共存は無理だというオソンム。確かに善と悪の象徴である2人が、設定に合わない逆のことをすれば、存在が危うくなるのは分かるが、誰がジャッジするのか?読者⁇神?

⑤オヨンジュ登場から先の話が、全て34巻一冊に収まるわけがないのでは⁇

いろいろ考えさせられましたが、カンチョルの言う、次元の違う二つの並行世界が存在していて、たまたま「漫画」を通して繋がりあっているが、漫画の主要人物外のエキストラレベルでは、オソンムの采配も届かないはず、という考え方には唸らされました。なるほど!では漫画を通して繋げたのは、やはり「神」のなせる技なのか…?

カンチョルが、自分の生きてきた世界が漫画であったことを知ってしまうシーンが、最も胸が痛く、観ていて苦しいものでした。家族を殺された復讐をしたくても、真犯人は顔も名前も設定されていなかった…(オソンムめ!)と知った時のカンチョルの絶望的な表情には涙しかないです。死にたい時には死なせてもらえず、生きたい時には殺そうとする、カンチョルがオソンムに胸の内を吐き出した慟哭シーン…
それでも愛した女性を守るため、自分は漫画のキャラに戻ろうとする、前半のクライマックスでした。その後は怒涛のラストまで詰め込み過ぎで、なんとかハッピーエンドに辿り着いた時には、安堵しかなかったけれど、これは2回見るに値する作品だな、と思います。1回目で分からなかったストーリーに気付くことが出来たし、イテファンが、驚いた時の目を剥いた演技がとてもおかしかったし、オヨンジュの指導教授と、オソンムのアシスタントの掛け合いシーンの面白さは、何度見ても笑えます。
1回目でなんだかゴチャゴチャしてんな、と思って評価が低かった方は、もう一度チャレンジしてみてはどうでしょうか?
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