叡福寺清子

そして、ユリコは一人になったの叡福寺清子のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ちょっと長くなります.今回は気合入れました.
まずは現ユリコ様こと筒見友里子の中の人,天野はなの昭和顔に感銘を受けました.もんぺ履いて頭巾かぶった姿で,灯火管制の中お隣に御味噌借りに行く姿コンクールがあったらダントツで優勝すると存じます.もしくは大奥あたりの中間管理職で上司から受けたストレスを倍にして下女に返すような性格最悪なお女中さん.さらには、木村多江の娘役に最適解.かつ,NHKが好みそうな顔立ちなので,近々朝ドラあたりに出演されるでしょう.主人公の友人あたりで・・・もうすで出演されてるのでしたら申し訳ありません.無知を笑ってやって下さい.おまけに鞭を下さい.

その昭和顔にがっぷり四つで組むのが,令和顔(まだ二年だけどね!)の玉城ティナ嬢.本作と前後して実写版地獄少女に閻魔あいとして主演.私はまだ未視聴ですが,少なくともビジュアルはグッときました.そりゃね,幼女を用意できれば一番でしょうし全国オーディションかけりゃ見つかるかもしれませんが,死国の栗山千明級逸材はそうそう見つかりませんって.栗山千明といえばバトル・ロワイアルですが,本作,というか昨今の邦画・・・おっと話がそれた.その話はあとでします.今は玉城ティナ嬢ですな.この方を初めて意識したのはサダカヤでございますが,いつのまにか立派なホラーアイコンに成長されたのですねとティナ・あいの画像を観た時,じぃは感動でむせび泣いてしまいましたぞ(劇場で観たかったなぁ・・・).えっ?ダイナーに出てるですって?あぁそんな作品もございましたね.アレでそ,藤原竜也の顔芸を愛でる作品.そんなの私が観る必要はないでしょうに・・・
そもそも本作を視聴するきっかけとなったのがティナ嬢が醸し出す百合臭.本作の宣材写真からは,例えが悪くてすみませんがシュールストレミング級に百合臭が漂ってまいりまして,私は反射的に劇場版零を連想いたしました.であるなら視聴は必須でありましょう.劇場版零には「女の子だけにかかる呪い」,「真夜中の零時に好きな子の写真とキス」「耳元で囁かれる『私の呪いを解いて』という言葉」が百合アイテムとして繰り返し登場しましたが,本作は「君はボクが必ず守る」というワードを繰り返す事で百合男女かつボクっ娘フェチというニッチの琴線をビヨンビヨンと奏でつづけ,琴線そのものがたわんでしまうのではないかと心配したほどです(嘘ですけどね).実はボクっ娘が原因で最終話美月が実はボクも男だったんだよって衝撃告白するものだと思っていました.そうならなくて良かったです.んなことしたら今まで築き上げてきたLの世界が崩壊する・・・いま待て.美月は「狭い世界をぶっ壊す」と何度も繰り返しました.つまり美月の言う狭い世界ってのはユリコ様伝説に支配された学園の事ではなく,百合脳に支配された人間の理想の事だったのか!!!たぶん違いますね.

少し真面目にお話をします.
先程のバトル・ロワイアルですがご存知ない方もおられましょう.20年前の映画です.未視聴の方がおられても当然でございます.ざっと言うと中学生ひとクラスを無人島に連れてきて最後の一人になるまで殺し合わせる作品です.ほら・・・なんとなく似てません?ユリコの名をもつ少女達が最後の一人にあるまで淘汰されるってのが.もっとも「最後の一人になるまで」はバトロワ以降雨後の竹の子の山ほどに製作されてますが.
でもバトロワは本人同士が戦い最後の一人を決めるのですが,本作は当事者である五人のユリコは直接に生存競争に参加いたしません.裏で糸を引く行為まではあれども,結局ユリコ同士の争いは一度も起きませんでした.生殺の行く末を「思し召し」という成り行きにまかせて,その結果学園の頂点に立つ・・・昭和おじさんにはちょっと理解の埒外かもしれません.

理解の埒外といえば,本作の恋愛要素も規格外で理解に苦しみました.だって,ちゃんとした恋愛感情を提示したのって,美月に対する百合子と小太郎に対する美咲ちゃんだけじゃありませんか.演劇部の太っちょカウボーイ・・・じゃなくって木下先輩は微妙・・・あぁ,一話で美月に秒で振られた男子がいましたが明らかに論外です.
美月の事無視するってオマエすごいな,ですって・・・バカ言っちゃいけませんよ.アレは真っ当な恋愛じゃありません.心酔羨望憧憬そして原理主義的崇拝でございましょう.アガペーですよ,アガペー.7話にせよ8話にせよ,エンディングで,美月のそばに百合子が立っていなかったでしょ.あの美月の佇まいってのはね,命こそ落としていませんが殉教者の姿なんですよ.その姿が令和的純愛というのなら,昭和おぢさんには,中々理解するのが厄介な事柄でございます.

最後になりますが,私と一緒に本作を視聴されたクレイジーサイコレズの祖にして頂点の藤○静○さんの述べられた感想にて〆たいと存じます.
「へぇ,やるやないの.お好きな人の為やったら悪魔にでもなれる,ゆうんはようわかりますえ.せやけど崇めるだけで手ぇ出さへんいうんは臆病もんのすることとちゃいますやろか」