RIO

死にたい夜にかぎってのRIOのレビュー・感想・評価

死にたい夜にかぎって(2020年製作のドラマ)
5.0
※原作未読

女性にトラウマを抱え、うまく笑うことができない浩史。
精神障害を抱える音楽家志望のアスカ。

悩みを抱えた特殊な2人の奇妙な恋愛模様を映した6年間。

6年も付き合った人と別れるのって、その期間全てが時間の無駄だったように思えるけど、実はそうじゃなくて、

恋愛自体、ゴールインすることが幸せのすべてではなく、結ばれるまでの過程に楽しさが詰まっているのであり、

別れてしまったとしても、過去を振り返った時に、最高に愛おしい日々だったと思えるような無駄な時間こそが、かけがえのない幸せなのだ、という素敵なメッセージには心を打たれました。

そして、時にはお互いのことを考えて嘘をついて別れることもあり方の1つなんだなと。

だから、ラストの
「私の笑顔は虫の裏側には似ていないから。似ていないと、教えてくれたから」
には、
涙が止まらなかったし、2人の見せる涙まみれの笑顔が忘れられない。

側から見れば、どうしようもない2人の変で複雑な恋愛だけど、そこに切なさと辛さが込められてて、アスカのことを最後まで信じて愛し続ける浩史が本当にカッコよかった。

本当はもっと言いたいことだってたくさんあるはずなのに、それを押し殺してでもアスカを愛する、不器用で一途な愛。

それを、飾らないような優しい演技で演じきる賀来賢人の演技力は凄まじいし、
陰気くささとダサさを、視線の動きや口調、表情の変化から完璧に演じきってる様はほんとに凄い。

賀来賢人の面影を感じさせない風貌は、もはや浩史にしか見えないし、虫の裏側みたいな笑顔の演技は上手すぎる。

アスカを演じた山本舞香は、リアクションとか表情とかが自然体すぎてビックリ。
現実に居そうなナチュラルなリアルさがある。

人間味のある嘘のない脚本はリアルで良いし、サブキャラもみんな個性的で立ってた。
特にラッパーたちが面白すぎて最高。
赤髪の小西桜子可愛すぎだろ。

エモーショナルな世界観と雰囲気は観ていて心地良いし、重い邦画特有の映像の質感も凄く良い。

切なくて、辛くて、心苦しくて、でも、
最高に愛おしくて、観ていて泣けてくる。

こんなにも幸せな気分になれるドラマは本当に久しぶり。
ショートストーリーも長さと面白さが丁度良い。

アイナのエンディングはめちゃくちゃ良かったけど、ましのみのオープニングの方が個人的には好きだったな。
1回聴いただけで虜になったし、2曲ともドラマの世界観にバッチリハマってる。

ただ、あとがき編は本編に入れてほしかったなー。
本編よりキャストが豪華っていうのが…

まあ、それでもストーリーが最強だから
まあいいか。

“最高に楽しい深夜ドラマだったよ
ありがとう”
RIO

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