RIO

このサイテーな世界の終わり シーズン1のRIOのレビュー・感想・評価

5.0
Fuck Off‼︎

サイテーでクソな世の中を退屈に生きる2人の、異色の青春脱出劇。

常にキャラクターの目が死んでいるシニカル的なブラックコメディなのにも関わらず、どこか青春ラブストーリーらしい甘酸っぱさもあり、
それらが絶妙なバランスで構成されていて、どのカットを切り取ってもお洒落に映るし、エモーショナルな世界観と雰囲気が魅力的でした。

音楽の使い方も上手いし、流すタイミングも的確。選曲も神。

キャラクター自体、共感しづらいひねくれた内面をもってるのに、話口調や目線の動き、話す時の抑揚のつけ方、間合いがリアルすぎて、思わず感情移入してしまうし、

回を重ねるごとに、腐った現実から逃げ出したい苦悩や葛藤、どうしようもできない繊細な心情がますます伝わってきて、観てるこちら側も胸が苦しくなる。

行き当たりばったりでやりたいことが、ことごとく上手くいかない展開のおかげで、まったく先が読めず、引き込まれたし、
1話分が短いからサクッと観れて、テンポも良く、非常に観やすいです。

余韻を残しつつも爽快なカッコよさがある、粋なラストは最高でした。

世の中なんでも正論をぶつけることが正しいとみんな思ってて、その正論を自分では絶対的に正しいと思い込んでいるから、間違っていたとしても気づかない。

それをそのまま子どもに押しつける毒親には、彼らの欠けた論理感の正しさなんて到底気づけないし、そもそもそんな子どもに育った原因が自分にあるなんて考えもしないんだろう。

正しさなんてこの世の中で生きる中で、どうだってよくて、正しさの押し付けあいをしてるやつなんてごまんといる。

そんな腐った現実から逃げたっていい。
本当にイカれてるのは世の中なんだから。

そんなサイテーな世界に中指を突き立てるような爽快感と、切なくも美しい愛情が込められた、最高に愛おしい傑作青春ドラマでした。
RIO

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