原作であるゲームをプレイしていない身としては、同じアポカリプスものとして『ウォーキング・デッド』と比較してしまう。TWDが閉鎖的なコミュニティと、コミュニティ同士の対立を描いたのに対し、本作はコミュニティから抜け出した者たちの子連れ狼的なロードムービー。エリーの設定は『28週後…』をも彷彿とさせる。
TWDと同じく、旅の終着駅にろくなことが無いのは共通している。ジョエルのとった行動はこの旅路を思えば当然ではあるが、当初の目的からは180度違うわけで。命を徹底的に奪う乾いた暴力は、観る者にアポカリプスのリアルと深い断層を突きつける。エリーの最後の言葉と表情は、それらをすべて物語っていて胸が詰まる。
ロードムービーゆえに二人が関わる登場人物もロケーションも毎話変わるので飽きさせず、西部劇だったりラブストーリーだったりバイオレンスアクションだったりジュブナイルものだったりと題材も変わる。唯一物足りなく、かつシーズン2に期待したいのは感染者。E5で地獄の釜が開いたかのような展開はあったものの、それ以外は思いの外抑制的だった。
珠玉なのは本筋ではないがE3。こういうのが観たかった。
世界中の人が嫌いだから生き抜いて、たった一人を愛したからこそ生き抜いた、幸福で美しいストーリーだった。
修羅の世界で築き上げたビルの20年はアポカリプスの真理であり、ホームデポとか誰もいない大型店で物資をカートに放り込むのはゾンビものの定番ではあるが、ここまで計画的かつ軽やかなもの無くて高揚してしまった。
ジョエルとテスとの関係やE1ラストの伏線回収も見事。