にこぺ

リプリーのにこぺのレビュー・感想・評価

リプリー(2024年製作のドラマ)
4.5
イタリアのアトラーニから始まり、イタリア各地を巡ります。全編モノトーンで、どのシーンも絵になりそうなくらい美しかったです。
リプリーが魅せられるカラヴァッジオの絵のイメージがあるのでしょうか、光と影の差が強い印象です。本人もカラヴァッジオと被ります。

リプリー演じるはアンドリュー・スコット。なにを考えてるかわからない気味悪さをまとっていて素晴らしい。いろいろかわして、おとなしく普通に暮らせばいいのに、贅沢せずにはいられない貧乏根性がかなしいですね。この時代だから成立する犯罪で、捜査も比較的おおらかです。
逆にリプリーの頭の中は目まぐるしく回転していて、ちょっと気を抜くと、次の課題がやってきます。

話は静かに進みますが、全編常に緊張感を感じます。美術品や猫がリプリーの悪事をじっと見ているようで、見ているこちらがドキドキするほどです。
その灰皿、そのパスポート、その指輪、何でこっちが焦るんでしょう?

ダコタ・ファニング演じるマージもなかなか印象的です。口には出さなくても「ちょっとは遠慮しなさいよ」「あんた一体なに企んでるの」みたいな声が聞こえてくるような目ヂカラでした。
そして死んだ人間の扱いにくさが非常にリアルでした。
にこぺ

にこぺ