上流階級と庶民の間の断絶と融和を、フットボール史の実話をベースにして描いた傑作ドラマ。
洒脱な衣装をまとった上流階級は、ダウントンアビー制作スタッフが関わってるのが納得なゴージャスさで、不潔でボロボロの生活を強いられている貧困庶民との格差が凄い。
対立と融和の構図は、階級間だけではなくていろんなケースで立ち上がり、そのどれもが非常に面白いし、主要人物たちが苦境に陥り、苦渋の選択を迫られる状況が続くので、重厚感がありながらもほとんど一気見だった。
中でも上流階級サイドで唯一労働者たちを認めようとするキネアード卿(実在の人物)の行動こそが物語のキモ。
今の基準で見ると、上流階級の連中は差別的でムカつく連中ばかりであり、まともなのはキネアード卿だけだと思ってしまうが、当時の価値基準で言えば奴らの方がまともで、実はまともじゃなかった唯一の男がキネアード卿。
身内の既得権益を手放してでも全体の最適解を優先するような、ある意味エキセントリックで清廉な人物が既得権側から現れ、孤立無縁の中でその主張を押し通すことが、パラダイムシフトを加速するのにどれだけ役立つことか。
主人公2人とも父親がメタファーになっていたことが(勝手な解釈)、最後の対比によって気付かされるところも良かった。
6話完結で、見始めるハードルが低かったのは良かったが、これだけのクオリティーであるならば、もっとじっくりと10話くらいかけて欲しかったところ。