soopen

偶然見つけたハルのsoopenのレビュー・感想・評価

偶然見つけたハル(2019年製作のドラマ)
3.5
なんとか完走。
設定は面白かったが何しろ長過ぎた上、ラストも苦肉の策という感じ。

イジョンソクのWのように、漫画の世界に生きるキャラクターが自我に目覚めるのなら、現代に飛び出て作者と対決して欲しかった。花男の出来損ないのようなセリフを言わされる漫画の主人公達の哀れさを、自我に目覚めた脇役や、名もないエキストラが白けて見ている構造は面白かったし、脇キャラの婚約者設定のヒロイン(漫画の中の世界では脇役、ドラマ上はヒロイン)が心臓病でいつ死んでもおかしくない、作者の胸先三寸、逆らったら作者に殺される、という中で、世界を変えてくれそうな名無しのエキストラを焚き付けて、反抗する所は、スリルがあって面白かったと思う。ただ、所詮は作者を脅かす存在にはなれなかったという虚しさが残る。

自我に目覚めた者達が、この漫画ほんとに売れてるの?と疑問を抱くように、ありきたりのラブストーリーを繰り返させられる、登場人物達。全てを知っていると思われた、学園物ラブストーリーを傍観する立場のシェフ(漫画のキャクター)ですら、作者に物申すことすら出来ずなので、折角の前作の時代劇漫画から引き続きのキャラクターが、今度は学園ラブもので生きていく、という設定にしたのに、深みが感じられず、漫画としては行き詰まっているように見えた。

こんな作品はこちらからやめてやる!とキャラクター達が作者に説教をするとか、会いに行くとかいうファンタジーであったら、スカッとしたかも知れない。なんだかモヤモヤしたまま、作者=神の世界で自我が目覚めてしまったら、多少の反抗は許されても本質は変えられないんだなと思わされただけ。
soopen

soopen