hana

賢い医師生活のhanaのレビュー・感想・評価

賢い医師生活(2020年製作のドラマ)
5.0
素敵だなと思うシーンに、いくつも出会うことのできるドラマ。自分の生き方を考えさせられる。決して、説教臭いわけでもなく、音楽で盛り上がらせるわけでもなく(もちろん音楽自体はとても素敵!何度聞いても、幸せになる歌ばかり。でも派手ではなく、作品に馴染んでいる)、強い言葉で訴えかけるわけでもない。5人の思考する姿や、行動する姿で、視聴者に委ねている感じ。

私は特に、イクジュンとソンファのシーンが好き。とても素敵。

第6話のソンファの診断をめぐるシーン。ソンファから検査を受けたことを聞くとき、いつもおしゃべりなイクジュンがほとんど話さない。電話がかかってきても気づかない。表情では落ち着いていても、内心動揺していることが伝わってくる。翌日、診断結果を聞きに向かう際、5本の缶コーヒーを買って病院に向かう。おそらく、5人集まるだろうと考えての行動。でも「あいつら来てないのかよ」なんて言わず、看護師さんたちへの差し入れにする(ちなみに2本)。「がんになっていたらどうしよう」と不安を語るソンファに対して、「おれが治してやる」と断言する。「大丈夫だよ」となだめるのではなく、むしろ自分の行動で安心させようとする。出勤後に、カフェのコーヒーを差し入れするところも(だって缶コーヒーはあと3本残っているはず)、彼女とホッとさせようとの行動。一貫して、彼女の心身ともの健やかさを願っての行動に見える。はぁ、素敵だな。。。。

・NS飲み会のゲームで、「ソンファを異性としてみたことがあるか?」と聞かれるイクジュンは、yesでもnoでもなく、お酒を飲み「ノーコメント」と答える。ノーコメントであることで、むしろ本当に彼女を思っていたことを表現している。その言葉を発する前の考えている表情も素敵。賢い人が思考をめぐらしている姿だと感じる。

・ウジュの看病を頼んだ翌朝、ソンファとウジュが眠っている姿を見て、心打たれていることが伝わってくる。自分の大切な息子を、やさしく抱きしめてくれているんだもん。そりゃ、ぐっとくるよね。その後、朝食を食べているときに、ソンファから自分へのご褒美を聞かれるイクジュンは、ソンファとの食事やコーヒーを飲むことだと答える。それは偽りのない言葉であるけれど、ソンファを少し困らせてしまう。そこで、ソンファの好きな雨の音に気付かせることで、話題をそらしてあげる。これも彼女への配慮。はぁ、素敵だ。。。

どのシーンも、彼らが歌う歌とリンクしている。もちろん歌が先にあるわけだけど、無理に合わせている感じはない。むしろ、その歌を生かすように作品が作られている。韓国の作品は、異なる作品を取り入れる場面がよくあるけれど、どれも先行作品を尊重しているように思う。文化が積み重ねられていくことを感じる。

私は韓国には旅行で一度行ったことしかないけれど、それでも楽しめる作品。彼らの大学生時代を生きていた人には、もっと感慨深く感じられるのだろうなぁ。そんな風に、この作品を見ることのできる人をうらやましく思う。
hana

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