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花様年華-人生が花になる瞬間のsoopenのレビュー・感想・評価

4.1
究極の純愛の昇華でした。
不倫という言葉が相応しくないような。
とはいえ、双方に中学生の男の子がいる設定なので、子供を犠牲にしてまで、気持ちを抑えられないのか?と不快に思う方もいると思います。ウォンカーワイ監督の映画、花様年華は未見ですが、比べてみたくなりました。

物語は1993年〜1996年辺りを中心とした過去編と現代を頻繁に行ったり来たりします。学生運動家のハンジェヒョンと、同じ大学のピアノ専攻のユンジスが出会い、学生らしい初々しく瑞々しい恋を、幸せいっぱいに見せてくれました。なぜ2人が別れなければならなかったのか、25年という年月が、どのように2人を変えたのか?過去の謎や誤解を解く度に、少しずつ近付いていく2人の距離感が丁寧に描かれていました。
韓ドラでよく言う『前世で一体どんな徳を積んだら、こんな幸せが待っているのか?』の真逆で、一体どんな悪行を積めばこんなに運の悪い人間が生まれるのか?もしや、朝鮮時代のご先祖様のツケを、今更払ってるの?と、思える程にとことん不運に見舞われる不遇な2人に、涙しかなかったです。

印象的だったのは、チャングァンさん扮するユンジス父の栄枯盛衰。検事長でなんでも思い通りに出来ると、家族に対する締め付けも厳しく、我が世の春を謳歌していた筈が、ある事件により大切なものを失い、人生は暗転へ。そんな時、手を差し伸べて面倒を見てくれるのは、かつて一番仲の悪かった娘。年老いた今、本当に必要だったのは、お金でも権力でもなかった…
このユンジスと父親、ユンジスとその息子、ハンジェヒョンとその息子、色々な親子関係が、時に胸に刺さり痛んだり、時に感動を呼んだり、時に郷愁をそそられたりしました。

若い2人のロマンスは、美しく可愛くて、アンドレギャニオンのめぐり合い、が流れる中で、これが花様年華じゃなかったらなんなの?と言えるほど素敵でした。GOT7 のジニョンがとにかく眩しくて、あなたが笑えば、花も開くだろう、と思えた程。相手役のチョンソニも、負けずに可憐な白い花のような子で、それを引き継いだイボヨンの違和感なしの、不老ぶりには拍手しかないです。ユジテはそもそもジニョンとは系統が違うので、ジニョンがどう頑張って筋トレしても、あんなキン肉マンにはなれないし、大学生になってからあんなに背も伸びないよ、と思いつつも、受け入れてしまったのは、仕草や笑い方に似たところがあったからでしょうか…

学生時代の友人たちとのその後の関係も興味深く、労働運動そのものにも興味が湧き、経済戦争の行方も面白かったです。
不倫もの、ではあるけれど、それだけではない楽しみ方もあると思います。
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