はべ

恐怖新聞のはべのレビュー・感想・評価

恐怖新聞(2020年製作のドラマ)
3.7
メイン監督中田秀夫、シリーズ構成乙一。

テレビドラマでこんな布陣で、こんなにしっかりとしたJホラーが見れるなんて、いい時代になったものだ。

スタートした直後はだいぶ原作と違うし大丈夫かなと思ったが、最終的には原作のエッセンスを見事に消化し、ほかにもさまざまなアイデアをプラスした、原作をはるかに越えた作品だった。
(原作は2や真を含めてすべて読了。たしかにオカルトブームを牽引して一時代を築いた漫画だけど、今にして思うといろいろと足りないところのある作品だった。)

・串刺しなどの死に様の絵作り。
・いまどきテレビで難しい猟奇殺人的な描写。
・虐待などの社会問題の反映。
・坂口涼太郎の存在感。
・恐怖新聞購読?のルール設定。
・突然時代劇の驚き。
・伝説などで裏付け補強。
・最終話の視聴者も騙すトリック。

ただただすばらしい。
本当に乙一いい仕事してる。

いま勢いのある白石聖も期待通り良かったが、黒木瞳が大活躍。狂気から母性までやはり安定感が違う。こんな深夜帯でも手抜きなくやり切ってた。

坂口涼太郎は前半の抑えた穏やかな演技からの展開、表情も本当に凄かった。
幼馴染の子もそうだけど、最終話に出てた消火器の子、あれ誰だろう、本当にイライラさせられたし、マジ狂気だし、すごい逸材たちだったと思う。深夜なのでキャスティングも制約少なくできた結果なのだと思う。

幼馴染が父親が死んだ主人公に無神経なこと言ってたけど、原作でも同級生が同じような発言を悪気なくしてて、ちゃんと原作から拾うところは拾ってるのもわかって感心した。

ちゃんと着地できるか、最終話の着地見るまでは不安もあったけど、全くの杞憂だった。

警察組織の層の薄さと最終話の鬼形礼の造形のチープさはご愛嬌。まあ原作がそんな話だったからね、と。

それと、黒木瞳が娘を抱きしめるシーン、中田秀夫監督作品である「仄暗い水の底から」の黒木瞳つながりのオマージュ(最終話の監督は別な人だったが)だったと思う。こういうところもうれしい。
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