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ブラームスは好きですか?のsoopenのネタバレレビュー・内容・結末

ブラームスは好きですか?(2020年製作のドラマ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

スランプに悩む世界的な天才ピアニスト、パクジュニョンと、有名大で経済学を学び、卒業したにも関わらず、3留してもやりたかったバイオンリンの為に、音楽学部に入り直したチェソンアのラブストーリーを軸に、思い通りにならない恋愛と、努力が実るとは限らない、芸術の世界で夢を追いかける若者達の苦悩と現実を描いた繊細な作品。

パクジュニョンは、長年、親友のヒョノの恋人ジョンギョンへの思いを引きずり、まるで自分はクララシューマンに生涯想いを寄せていたブラームスに似ている、と思っています。そこで似たような恋愛をしているチェソンアに同情心から近付き、本物の恋愛へ昇華していくのですが、早い段階で2人の気持ちが固まってからが、ノロノロし過ぎて、見ていてイライラ。お互いを思い遣る気持ちからか、言葉がとにかく足りない、誤解され揺れ動く気持ちに加えて、芸術弱者と強者という関係もまた嫉妬心を芽生えさせるので、疲れ果ててしまう2人。

全編通して物静かで、劇的なことは起こらず、のだめのように才能を開花させるサクセスストーリーではないのですが、音楽が好きならこういう携わり方もある、という希望も感じさせられて、メインメンバーのそれぞれの生き方の選択には納得させられました。チェソンア役のパクウンビンが、恋人を見るような恋しい切ない眼差しで、自分のバイオリンを見つめているシーンには、見ていて惹き込まれました。
パクジュニョン役のキムミンジェは、本当にピアノを猛特訓したようで、引きのシーンも多く、本人が弾いているようにしか見えなかったです。

新しいなと思ったのは、財閥の理事長(ジョンギョンの祖母)がとても物分かりの良い人で、孫娘が付き合う男性が一般家庭の男性でも家柄は気にしない、父親も野心を持っていない、など今までの韓ドラではあり得なかった、財閥の描き方の多様化に驚きました。

音楽的には、シューマン、クララシューマン、ラフマニノフなど、ドラマのOST以外にクラシックCDまで出ている本作ですが、残念ながら作中ではあまり堪能する時間がなかったです。ただ、クララ達の関係を語って曲紹介もしてくらるので、とても興味を持ちました。
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