ミサホ

マンハントのミサホのレビュー・感想・評価

マンハント(2017年製作のドラマ)
4.4
これは……。
もう、一気に観てしまった!8エピソードをゆっくり観ようと思っていたのに、一日に2話のペースで観ちゃった。

アメリカに実在した連続爆弾魔“ユナボマー”の事件を元にしたドラマだ。(ユリゲラーじゃないよ)

犯人の人物像、そして逮捕に至る捜査の過程をじっくりと且つスリリングに見せる(魅せる)。

ユナボマーを演じるのは、イギリスの名優(と言ってもいいよね)のポール・ベタニー。彼の哲学者然とした風貌と佇まい、そして痩せぎすな体躯が、産業、科学技術そして過度な文明を嫌うIQ168の天才を演じるのには持ってこいだ。それくらい、ぴたりとハマっていた。

そんなユナボマー(本名:テッド・カジンスキー)を分析、プロファイリングするのが、サム・ワーシントン演じるFBIのジェームス・フィッツジェラルド分析官。

ユナボマーこと、テッド・カジンスキーは、ハーバード大学を卒業した数学者で、IQ168の天才だ。頭が良すぎて飛び級、飛び級の学生時代だった。その彼が世捨て人となり、爆弾を製造、そして送り付け、死者3名、負傷者23名を出す凶行に至った経緯は…?

フィッツジェラルド分析官は、ユナボマーの声明文をもとに、使う言葉、文法、綴り、文体といった言語学の観点から、犯人の人物像や思想、学位の有無などを分析し、高い知能の持ち主の犯行と推定。ところが、FBI捜査本部はそれに異を唱える。そして、言語学など証拠にならないと一蹴する。

フィッツジェラルド分析官が、核心に迫っていく過程、FBI捜査本部と分析官の対立、ユナボマーの思想の根源…といった主に3つの柱を軸に、逮捕そして裁判に至る物語は、見応えがあり、エピソードごとに胸が躍った。

科学技術や産業の発展が人間を縛り、操る。(赤信号のシーンは象徴的)また、人間本来の自由、そして自然は失われ、環境破壊が進む…それを憂いての犯行なのだ。

しかし、その犯行により無惨にも命を失った、或いは身体の一部を、精神を失った人がいる。他の選択肢はなかったのだろうか。その高い知能を違った形で活かせなかったものだろうか…。

そんなことを考えた。

演じているのがポール・ベタニーだったので、肩入れが過ぎたかもしれない。
それでも、そう感じさせるのは、わたしが現代の技術発展を楽しみつつも、どこかで疲弊しているからなのかなぁとも思う。

本作、鑑賞後に改めてユナボマーのWikiを覗いてみた。やはり、興味深い人物だ。
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