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テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく シーズン2のmegurosのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

s1にてチームはチャンピオンシップ(英国2部リーグ)に降格。s2では再昇格までを辿ることになるが、1話でチームに加わったスポーツサイコロジストのシャロンに象徴されるように、それぞれの心の問題に本格的にフォーカスが当てられていく。

例えばサッカーを介しては、ロイからキャプテンを継承されたマカドゥの悩み。クリスマスシーズンに故郷に帰らない海外選手たちの孤独や、彼らを温かく迎えるクラブスタッフの話も。ロイ(ロイ・キーンがモデルとなったキャラクター)を巡っては選手のセカンドキャリアについても描かれる。テッド自身のパニック発作についても。

サッカーを離れては、とんでもない失敗から立ち直るにはどうすればよいのか?人は変われるのか?を扱うエピソードも。※(1.) 何度も別れてはくっつくを繰り返す元カノ (2.)スピリチュアルに傾倒して何かあるたびに父との離婚を持ち出す母親 (3.)現役時代に仲の悪かった選手がコーチとして戻ってくる…など多層的に形を変えながら。

加えてs2では、サッカー番組の解説やスポンサー問題、試合日当日のスタジアム周辺状況、チケットの買い方/入り方、サポーターの生態に至るまで、サッカーのある風景がより細部にわたって描かれていく。そこには、サッカーを取り巻く森羅万象を見せていく気迫をすら感じるが、本作の真髄はその地点すら遥かに超えて、サッカーチームに関わる人間たちを通じた、むしろサッカーという文化を通じた哲学的態度にあるとも感じる。※自分自身が幼い頃からサッカーを通じて大切なことを教わってきた、という強い自覚があるため殊更そう思うのかもしれないが。

ジェイミー(悪童をステレオタイプ的に体現したキャラクターでロナウド/ベッカム/カントナ/バロテッリ、s3ではグリーリッシュのような感じにも)に対するprick覚醒サインが最高だった。ep9”試合後のビアード”にはアンリとリネカーの姿も。ロンドンの夜、おかしな世界に迷い込むようなエピソードで、出会った男たちのズボンをメモワールとして集めている女性の家に迷い込むことがもしあればすぐに逃げなければならないと教えてくれる。

BritPopがたくさん聴けるのもs2。The StreetsとかThe Libertinesにはロンドン留学していた日々を思い出して胸が熱くなった。
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