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浜の朝日の嘘つきどもとのKUBOのレビュー・感想・評価

浜の朝日の嘘つきどもと(2020年製作のドラマ)
3.8
昨日試写で見た『浜の朝日の嘘つきどもと』に、昨年放送されたテレビ放送版があると聞いてU-NEXT の配信で早速鑑賞。

冒頭、竹原ピストルが朝日座にやってくるところから始まる。

え!これってまんま映画版のラストシーンじゃん!

そう、発表順とは逆になるが、テレビ版は時系列的には映画版が終わったところから始まる「続き」だ。

竹原ピストルは、初めて撮った映画が酷評され、自信を失くして死にに来た自殺願望の映画監督。「ここで見た映画に感動したら死ぬのはやめようと…」

だが『天使にラヴソングを』では感動しなかったこの監督さんのために、茂木莉子と館主は「死に場所」を探す旅に、ってふざけた始まり。

映画版が大久保佳代子なら、テレビ版はこの竹原ピストルのお話し。

映画版の1年前に福島中央テレビで放送されたものだが、映画版と関連する台詞やシーンが随所に見受けられ、映画を見た後に見ても楽しい。

中には昨日「◯◯はNG」と言われたものも、このテレビ版にはっきり出てきちゃうものもあって、「だったらNGの意味ないじゃん!」って思うところも。

逆に、このテレビ版を先に見た福島の人が映画版を見れば、「ああ、テレビ版に出てきた台詞はここに繋がるんだ!」って楽しめる趣向。

このテレビ版の方が、なんで「嘘つき」なのかはハッキリわかる。

また噺家・柳家喬太郎の見せ場もこちらの方が多い。

震災とコロナにやられた福島の映画館を舞台に、自信を失くしていた映画監督の再生はあるのか?

「『ロスト・イン・ラマンチャ』のテリー・ギリアムを越えようぜ!」「ただの悪夢じゃねえかよ!」笑える!

ラストシーンの2本立てが『生きる』と『素晴らしき哉、人生!』なのも Good !

主演2人(高畑充希と柳家喬太郎)はそのままに、また違ったゲストが朝日座を訪れて始まるエピソード、作ってくれないかな〜。

地上波のドラマでこんなに素晴らしいの見たのは久しぶり。尺は54分と短くても、タナダユキが監督・脚本だし、これは映画レベル。

映画版を見に行く人は、このテレビ版を見てから行くとより楽しめること請け合い。先生との約束の「その後」も見れるしね!
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