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神様のカルテのmomoのレビュー・感想・評価

神様のカルテ(2021年製作のドラマ)
5.0
〈はじめに〉患者に真摯に向き合う青年医師栗原一止を福士蒼汰くんが好演。蒼汰くんは変幻自在にいろんな役を自分の物にしている。<第1話> 学士殿との別離と末期がん患者の話。学士殿に学歴ではないと説く栗原医師の言葉と桜に感動した。患者の思いに寄り添い、最善を尽くす栗原医師や看護師の姿に医療の良心を見た。延命治療を施さなかったのは英断。手紙を読む場面では涙がこぼれた。栗原医師の口調は古風で違和感を覚えるが温もりが 感じられる。蒼汰くんの重厚な声が合う。<第2話>家庭や自分の命までも犠牲にして医療に尽くす医師の話。私は医師も家庭を優先していいと思う。医師の良心に依存してようやく成り立つ医療システムは既に崩壊している。悪いが栗原医師の考えはキレイ事だと思った。コーヒーをぶっかけただけで改心するというのも安易な流れ。古狐先生へのサプライズも現実的でない。冷めた目で見てしまった。閉店間際の店にゴリ押しするのもいただけない。自己犠牲を美談化し、強制してはならないと思う。<第3話>アルコール中毒患者と栗原医師誤診騒動の話。アルコール中毒患者は専門の施設に入院させて徹底的に治療を施すべき。一般の施設で中途半端な治療を重ねるから完治しないし医療が逼迫する原因になる。国民保険の無駄遣い。無知な医者は患者を殺す。確かに。私も優しいヤブ医者より冷徹な天才医師に掛かりたい。まあ私はガンになったら手術や化学療法は受けないと決めているが。延命治療もいらない。もとより薬は飲まない。病院にも行かない。基本医療を信頼していないので、この手のドラマは苦手かも。それでも伊東四朗さんが誤診と分かったあと栗原医師に言った言葉と、古狐先生への陰膳にはウルッときた。無給研修医の話が出ていたが、そのシステムと勤務医の薄給が医師のレベルを下げていると思う。<第4話> 進行性膵がん患者の話。入院したくない、家で死にたい、というのはよく分かる。その場合、早めに緩和ケアに移行したほうがいい。医師は手を尽くすことも大事だが、手放すことも必要である。在宅医療の専門家との連携を速やかに行うのが妥当かと。ルールを無視するのは無鉄砲過ぎる。どうも私は栗原医師にダメ出しをするタイプの人間のようだ。彼に対峙する医師や事務長に共感する。蒼汰くんファンとしてはつらい。でもやっぱり蒼汰くんには温厚で愛に満ちた栗原医師タイプを演じてほしいよね。葛藤。でも結局泣きました。栗原医師の完勝です。 〈終わりに〉このドラマは医療現場に人間性をという話なのだが、実はそれと相対する立場にも真理はある、ということを示唆しているのかもしれないと気づいた。医療現場の抱える不合理は必要悪、医療従事者ありがとうで済ませるのではなく、国家的規模での改善の端緒となるといい。栗原医師のような誠意溢れる医師が健全に職務を遂行できる医療体制、社会を作っていかなければならないのではないか。そんなことを考えさせてくれた意味でも良作だと思う。評判が良いようなので、蒼汰くん主役のままシリーズ化してもいいかな。1シーズンか単発2時間ドラマで。映画化も。蒼汰くんが主役ならまた観る。
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