りっく

今ここにある危機とぼくの好感度についてのりっくのレビュー・感想・評価

4.5
タイムリーでもあり、普遍性も兼ね備えた、ブラックユーモアたっぷりの見事な作品。現在置かれた教育・研究機関である大学の状況を踏まえつつ、その腐った組織の中で愛想笑いを浮かべながら媚びへつらうことしか取り柄がない松坂桃李が右往左往する様、そしてそんな生きづらい世の中を愛と敬意で強行突破し主体性を獲得していく様に胸が熱くなる。

原因不明の蚊はコロナに、国際博はオリンピックにそれぞれ置き換えることは容易に可能だが、隠蔽体質が常となった腐った組織にメスを入れ、再び互いに敬意と信頼を回復させようとする総長を演じた松重豊が、このクソみたいな世界が唯一良くなるかもしれない一縷の望みのような役柄を体温を持って演じていて素晴らしい。
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