Ryan

ミスター・メルセデス シーズン1のRyanのレビュー・感想・評価

3.8
スティーヴン・キングのビル・ホッジスを主人公とする小説三部作の実写化。

10話完結でありながらシリアルキラーと元刑事のやり取りは濃厚。
ある話を軸に物語が転回する。
前半パートを"過去の因縁編"とするならば後編は"残された者たち"
私的には前半パートがすっごく面白い。
ありきたりなシリアルキラー像でありながら、現代社会のテクノロジーと皮肉が混ざり合い変な"ゆるさ"がある。
この"ゆるさ"がたまらん。
現実ではゆるめなのに過去では衝撃的でキツイ。あくまで想像を掻き立てる演出。
この差の作り方が秀逸で絶妙なバランスの上で成り立っている。ドラマ化されるだけはある。

シリアルキラー像もあくまでプロファイリング上どれにも当てはまる大きなくくりだが、オリジナル要素も加わり現代社会の闇的な側面がある。

スティーヴンキング原作だからラストに期待値が高くなるが、物語のトーンは変わることはない。
だが、この物語を観た後である考えが過ぎる。
それは"老い"だ。
どの回の始まりも必ずブレンダングリーソン演じるビルの寝起きから始まる。
ある時は着替え、ある時は朝食、おじさんの1日の始まりを見させられる。
この意味がわかったのは終盤の展開。
一貫してスティーヴンキングが言いたい事はシリアルキラーより怖いのは"老い"
この意味がわかるとシーズン2への期待が爆上がりする。
そんな一風変わった今作はオススメ。
Ryan

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