今年のフィンランド映画祭の中で1番刺さったヒューマンコメディ、面白い。スタンダップコメディという日本では馴染みのない職業（日本でいう流しのコメディアン？）に就く35歳のヒロイン、地位も名誉も家庭も子供も居なくそれでも強く生きる姿を活写している。ノンバイナリーをカウンセラー扱いし、過去を聞いて嫌いだった相手が好きへと変化しキスまでしてしまった性差別主義者、彼に振り向いてもらえないから黒人と寝て、とかなり破天荒かつ自分勝手な感じが今を生きる独身現代人て感じでじぶんにも当てはまりかなりまいった…（こんなんではないけど）
「エデン」の新米先生でも印象的だった女優が本作でも唯一の家族の繋がりとして妹役で登場。エデンよりよっぽどフェミ映画として優れている一本。ベッドの上に貼られたロストイントランスレーションのポスターがヒロインを表している。
フィンランド映画祭2021

• #mingo2021

フィンランド映画祭にて。

監督いわく、フェミニスト・コメディ・アカデミーでの経験から来てる話だそうだ。

35歳独身で何が悪い？スタンダップコメディの世界に飛び込んだ女性脚本家の主人公が女性蔑視をネタにするコメディアンとツアーを共にする羽目になる。
黒人、ノンバイナリ－、フェミニスト、女性蔑視とよりによって集まったもんだなと。
案の定ぶつかり合いもあり。

マリアに対するトミの姿勢が腹立たしいことこの上ないが彼はネタだからいいだろ的態度で開き直る。
さんざんバカにして見下して｢ネタだから｣｢ジョークだから｣を免罪符にして言われた側の落ち度にするヤツ、いるよねぇー！って感じ悪さが身近すぎてイラっとしちゃう。

それでも負けずに反撃するマリアの姿は痛快だったが、彼女だって悩んだり悶々としたりするのだ。
妹は結婚して子供が産まれ、自分とはまるで違う幸せをつかんでいる姿を見るマリアの表情。

ツアー仲間とのつかの間の行動、スタンダップコメディのネタと本音のぶつかり合いを通してマリアは自分らしさを見つけていく……という感じだった。

ほんのりラブコメ臭あり見やすい映画になっていた。

フィンランドのスタンダップ・コメディの世界は独特だけと、未だ何者にもなり切れていないことに悩む35歳独身女性のお話としては世界共通あるあるな感じであった。

性差別的な笑いには普通にドン引き。まあ奥さん(と義母？義母そんなに強い？)の尻に敷かれた男たちのグチと考えれば、実は女性が強いことの裏返しかもしれないが。