田山信行

母性の田山信行のレビュー・感想・評価

母性(2022年製作の映画)
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母の手記と娘の回想が交互に錯綜していくことで構成されている原作のミステリ的趣向は前半のみで中盤からはドラマへと振った構成。モノローグが延々と続くのは映像ものとしてはしんどいので良い采配。

ほぼ大筋は違わず取捨選択も巧みで、非常に上手く2時間に構成されている。ドラマ性に振ったぶんエピローグが原作より長め。解釈を拡げる余地が減ったとも思うけど田所家での生活から結末までは結構ヘビーな展開なんで映画としてはこれぐらいの着地が変な後味残さなくて良いのかも。


この作品だけの問題ではないけど生活から滲み出た人間の醜悪さを今の日本映画は全然描けてない。ドメスティックな作品が多い割に。戸田恵梨香を特別見目麗しくもないと評するには違和感が。ふくよかという個性さえも表現できないのはどうだろう。

基本的に整いすぎた顔の人物しか出てこないためそこに生活感が滲み出てこないというのはある。高畑淳子さんだけは圧巻。
田山信行

田山信行