愛だと感じるもの、愛だと信じるものが純潔な愛とは限らない
嫉妬、執着、束縛、依存、憎悪、劣等、逃避、崇拝、投影、失望、
愛の裏にある明かされない心情や知る由もない感情
それに触れてしまったとき、恐怖めいたものを感じた経験が私にもあった
親でさえ、親だから理解し合えない思想がある
ちょっとずつ、明らかに異なる解釈と記憶が存在する
それが母と娘の二視点で丁寧に表現されていてよかった
終盤に出てきた女には2種類いるという解釈
母になりたくてなった女と
しかたなく母になった女、の方がしっくりくる
私と母のようでもあり、母と祖母のようでもあり、序盤の小気味悪さには嫌悪感すらあったのに、なぜだかわからない、最後どうしようもなく母に会いたくなって涙が出た。そんな自分への安心感と、やはり変われないんだなという喪失感を拭えないまま、なぜか帰る足取りはとても軽かった。
