大事ななにかが隠されたまま話が進む。言動の背景が読み取れないまま視点が変わる。終始不穏な空気を纏いながら。
事前に観ていた予告やタイトルから、一体誰が怪物なのか見逃さないよう慎重になっていたけれど、途中でそれが見当違いなことに気付く。
誰もが誰かの怪物になり得るし、そもそも怪物だと思う相手は自分が怪物に仕立て上げた結果かもしれない。不安だから、不安を排除したいから、視えている範疇で特定して安心したい。"怪物"はひとりではないし、ひとつではないよね。
もっと深く知りたくてパンフレットを買ったのだけど、"視えていない"ことをテーマにしたという坂元さんのインタビューを読んで沢山の点が繋がった気がした。すべてを読み取ることはできないけれど、作り込まれた層の厚さに深く引き込まれたことは確か。もう一度、この映画の贅沢をじっくり堪能したいな。
