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君たちはどう生きるかのrikakoのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0
鑑賞してから数日間、ぼんやりと思い出しては言葉に残そうと試みるのだけど、一向に感想がまとまらない。というか思い出せない。あんなにおもしろかったのに。なんだこれ最高と思いながら、時間を忘れて観入っていたことは覚えている。

タイトルの重みに引っ張られて一体どんなメッセージが隠れているのかと、まるで宮崎駿からの挑戦状を握りしめるように意気込んで観に行ったが、観終わった今感じることはもっとシンプルなもので、ただ画が美しかったとか、音楽が良かったとか、エンドロールの宮崎駿の文字に興奮したとか、童心に戻ったような喜びだった。

他の人のレビューをいくつか読んだけれど、千差万別。自分の感想を上乗せするのはなんだか着飾っているようで恥ずかしいし、その批評はいかがなものかと反論するのも違う気がする。
それぞれが今までの人生で大切にしてきたジブリ像を壊さぬよう、丁寧に真剣に、本作に込められた想いを感じとろうとしている。それ自体がもう素晴らしく、豊かで、幸せな世界だとわたしは思う。

分かりにくくてもいいし、分からなくてもいい。もちろん答えなんてないはずだ。
なんでもすぐに答えに辿り着けてしまう、辿り着こうとする、そんな窮屈な世界の中でどう生きるかは自分次第だと試されているような気になり、わたしはなんだか嬉しかった。そしてそれが一番のメッセージにも思える。
白でも黒でも、善意でも悪意でもない、曖昧な中を行き来しながら、自分なりの美しさをわたしは見つけたい。
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